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Noside

試合が続くフィールドから離れた人気のない観客席。

そこには2人の男が試合を観戦していた。

その2人は整った顔立ちをしており、何処か浮世離れした雰囲気は
近寄り難い印象を周りに与える。

2人の男のうち独特な座り方をした赤髪の男、
野坂悠馬は呟くように言葉を零した。

野坂「彼らの目……」

それに反応をした長身の男、西蔭政也は野坂に問う。

西蔭「それがどうかしましたか」

淡々と言った西蔭に、野坂は心底不思議そうに聞いた。

野坂「サッカーをやって、彼らは楽しんでいるの?」

純粋で穢れを知らない少年さながらに聞く野坂に対して、
その純粋さを断ち切るように西蔭は言う。

西蔭「それは無いでしょう」

冷たい言葉でその問いを否定した西蔭。

野坂は帰ってくる言葉が分かっていたのか、
特に反応も示さず短く答えた。

野坂「だよね」

そう答えると再び試合に意識を戻す。

フィールドでは稲森が星章(灰崎)に宣戦布告をしていた。

それに対して灰崎は妖笑し、
獲物を捉えた時の獣のように舌舐めずりをする。

試合が再開すると、星章プレーヤーはボールを持ちながら
速いスピードで雷門陣営を上がっていく。

そして灰崎は何時かのあの"彼"の様に、ある言葉を言った。

灰崎「デスゾーン、開始」

その必殺技によって星章学園の反撃が始まる。

本気を出した彼らに今の雷門が叶う可能性はゼロ。

この試合はいわば負け戦というものだ。

雷門のマネージャー、風丸Aも当然そんなことは分かっている。

だがAの脳裏には、初め弱小サッカー部だった時の思い出が頭を支配していた。

負けを知らない者は勝つことが出来ないと、Aは思っている。

本土に来たばかりの彼らにはこの試合での敗北は重すぎると考えていたが、
この一週間でAの考えは少し変わったようだ。

あの雷門イレブンの皆と同じく、日本一を掴めるとAは期待し始めたのだ。

Aは真剣な表情で試合を見つめ、
これからある敗北に向けて気持ちを固めていた。

また、そんなAがいるベンチを遠くから見つめていた野坂。

野坂の表情からは相変わらず感情を読み取ることは難しいが、
そのグレーの瞳には何か歪んだものが見える。

その歪みが何なのか、それが分かるのはいつなのだろう。

第2話 『フィールドの悪魔』-1-→←-6-



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橋本アリィちゃん(プロフ) - 初コメ失礼します!とても楽しく読ませて頂きました!今後とも応援しています!頑張って下さい!(*´ω`*) (2021年11月8日 9時) (レス) @page38 id: 1849d0f1e6 (このIDを非表示/違反報告)
春月卯月(プロフ) - 雪華さん» またまたコメントありがとうございます!他の作品でもコメント下さった時に言ったやつと、最近はモブサイコ100とか見てますよ! (2019年3月7日 19時) (レス) id: e961db7c14 (このIDを非表示/違反報告)
雪華 - 知ってるアニメは何ですか? (2019年2月18日 22時) (レス) id: 1286db9797 (このIDを非表示/違反報告)
春月卯月(プロフ) - メープルあんり(^ω^)さん» コメントありがとうございます!面白い、がとても嬉しい言葉です。゚(゚´Д`゚)゚。旦那はほんとに誰にも教えてないので、これからですよ!ちなみに視点をお願いしたキャラは旦那では無いので、いつかの話を更新する度にドキドキして欲しいです! (2019年1月11日 8時) (レス) id: e961db7c14 (このIDを非表示/違反報告)
春月卯月(プロフ) - 麗音さん» 見てくださって嬉しいです!あの2人の絡みでは、野坂君の違う一面を書きたいな!と思ったので、もちろんたくさん出てもらいますよ!まだまだ展開はたくさん考えてます!お楽しみに!コメントありがとうございました! (2019年1月11日 7時) (レス) id: e961db7c14 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:春月卯月 | 作成日時:2018年12月16日 23時

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