回夏の幽霊 (ページ11)

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「クロス、ほ、本当に

彼の肩に触れればガッシリとした硬い肩に安心感を覚えた。死んだはずの彼が、塵とかしたはずの彼が今ここにいる。触れられる、喋ってくれる、触れてくれる。

「A…？どうしたんだ、おばさんも心配してるぞ。…帰ろう、な。

「違うの、違うの…。私はもう、十七、じゃないの。…二十三なんだ…。

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クロスは死んだ時の記憶も何もかも残っていないと呟いた。全てのことを話した。私の両親はクロスが亡くなった日の水難事故で亡くなったことを、もう六年が経過していることを、クロス自身が亡くなったことを。

「…なぁ、俺は、俺はお前と祭りに行ったか…！？

「うん、行ったよ。とっても楽しかった。

「…お前には、恋人はいるのか…？

「いないよ、…好きな人はいるけどね。

「と、都会の男か！？

「違うなぁ。全然違うよ。

喋り方も声の低さも瞳も全てクロス自身のものだった。何かが可笑しいのは分かっているけど、それでもクロスは生きている。

今クロスは生きている。

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