回夏の幽霊 ページ1
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蝉の声が耳に残りながらも船に乗り込んだ。時期は夏のお盆の日。亡くなった両親二人の帰りを迎えるために直々に自身の誰も住み着いていない実家に船が向かい走り続けている。海の地平線の先は見えないけれど、その先に自身の家があるとなる。
うざったい蝉の声がどんどんと近くなる。
キャリーケースと共に音を立てながら歩き続けた。バリアフリーも何もかもがない階段を歩き続けながらも階段を上り続けた。島民の人達は私の顔を見るなり「ひさしぶりぃ」と変わることのない笑顔を見せてきた。
繰り返されるだけの言葉を聞き続けながらも自分は足を運びながらも玄関先についていた。戸を開ければなんともまぁ酷い有り様だった。家を貸している身だけれどもここまで荒らされていると呆れしか出てこなくなる。部屋を借りているという自覚がないのかと言ってやりたくなるぐらいに。
「ちょっとインク君さぁ…。
「……あっ、おかえりー!これはごめん!後で片付けるからさ!!!
「……はいはい、水頂戴。
こいつはきっと忘れるななんて思いながらも彼が描いていた地平線の絵を見ていた。インク君はあと1年後には上京して都会の大学に進学するらしい。大好きな美術への興味心が彼の心を大きくしているんだな、なんて思いながらも。
「来るなら荷物持ったのに!
「どうせスマホの充電が切れてるって思って。
「え?あっ、きれてるー!!!
「したのになぁ」とぶつくさ言いながらも彼はスマホの充電した。そんな声を聞きながらも両親の遺影はそれを和み笑いするかのように優しい笑顔だけが和室の部屋に並べられていた。
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ろきるふぇのん(プロフ) - 待ってました〜!今回も楽しく読ませて貰います♪ (7月18日 0時) (レス) id: fa9a6609c5 (このIDを非表示/違反報告)
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