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「音無のことは、春奈から話を聞いている。前から感謝を伝えたかったんだ、ありがとう」
『そんな、お礼を言われるようなことはしてませんよ、私はただ、妹として可愛がっていただけで…』
「いや、あいつはそれに支えられたと言っていた。俺が側にいてやれなかった分、お前の存在は大きかっただろう」
フッ、と自嘲気味に笑う鬼道さんを見ると何とも言えない気持ちになる。
『…さっき、兄らしいことはできていないって言ってましたけど、春奈は、貴方のことを自慢のお兄ちゃんって言ってたんです。…私には本当の兄妹っていないから、その…ちょっと羨ましかったの。離れて暮らしていても、こうやってお互いを大切に思うものなんだって』
あっ嫌な気持ちにさせたらごめんなさい、好きで離れていたわけじゃないのに…と付け加える。申し訳なくて無意識に目線が下向く。
「いや、大丈夫だ。顔を上げてくれないか」
そう言った鬼道さんの表情は先程よりも柔らかいものだった。
「…実はな、春奈は昔から俺と似ていないことを気にしていたんだ。気にする事はないと言っても、俺と一緒が良かったと言って聞かなかった…だが、今ではお姉ちゃんとお揃いの色だから気に入ってるんだと言っていた。たとえ血が繋がっていなくても、お前たちは立派な姉妹だと俺は思う」
鬼道さんはにやりと笑って、兄として姉には負けていられないな。と続けた。
確かに、春奈と私は髪色が一緒で仲も良い方だと思う、姉妹だと言っても違和感がないと言われるくらいには。…そっか、春奈も私の事、本当の姉みたいに思ってくれてるのかな。だと、嬉しいな。
その後も鬼道さんは私との話に付き合ってくれた。家での春奈の様子とか、春奈との思い出話とか。同級生だから敬語は不要だと言ってくれたので、お言葉に甘えたけれど…敬語で話していた理由が少し近寄りがたいイメージがあったからだなんて言えなかった。
最初は少し緊張していたけど、想像よりも鬼道くんが面白い…というか、話しやすいというか。冗談混じりにお話してくれたため、しばらくすると肩の力を抜いて会話を楽しむ事が出来ていた。
「ふふ、春奈ちゃんなんだか嬉しそうね」
「はい！お兄ちゃんとお姉ちゃんが仲良くしてるの、夢だったんです。お兄ちゃんあんな感じだから、ちょっと心配だったけど…さすがお姉ちゃん！」
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作者名：蛍 x他1人 | 作成日時：2023年12月28日 23時
