【短編集】【inzm】 (ページ8)

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…そう、終わったら連絡してねとちゃんと連絡したはず。
帰宅して、修学旅行以来初めて妹のいない、少し味気のない晩ご飯を食べて、テレビを観ながらゆっくりしていると、愛しの妹からの着信音。
「もしもしお姉ちゃん？雷雷軒っていうラーメン屋さんで打ち上げやってたんだけど、もうそろそろお開きかも」
『あら、本当？雷雷軒ね、今から行くからちょっと待っててね』
うん、ありがとう！と聞こえたのを確認して、じゃあまたね、と電話を切って外出の準備をする。この時は打ち上げって思ったより短いんだなあとしか思ってなかった。

『えっ…サッカー部の皆さん？』
雷雷軒の戸をからからと開けると、なかなかに賑やかな面々。夏未さんに半田くんやマックスくんといった、所々に見知った顔も。

あれ、まだ打ち上げ中だったかな、お邪魔しちゃったかも、と出直そうか迷っていると、「お姉ちゃん！」と呼ばれる。『あ、はる』な、と言い切る前に春奈に手を引かれてカウンター席に座るよう促された。

「じゃあ後は若いおふたりで！」なんて茶目っ気たっぷりにウインクしながらマネージャー陣の方へ戻っていった。
おふたり…？いやそもそも打ち上げ終わってなかったの…？色々と聞きたいことがこんがらがった結果、呆然と春奈の方を見ていると、「悪いな、俺が話したいと言ったんだ」と隣から声をかけられる。

『…あ、えっと、貴方は確か…鬼道さん』
春奈のお兄さんの、と続けると、目の前の彼は「ああ…兄らしいことはできていないが…」と苦笑を浮かべた。ゴーグルを着けているけれど、思ったより表情はわかりやすいんだなあ。
この人が私に話したいこと？と不思議に思う。帝国からの転校生というのは周りが騒いでいたから知っていたけれど、だからといって同じクラスでもなければ話したこともない、はず。

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