【短編集】【inzm】 (ページ7)

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私をお姉ちゃんと呼び慕ってくれる、最愛の妹である春奈は六年前に我が家にやってきた。歳はひとつしか変わらないけど、当時妹が欲しかった私は、両親が春奈を連れて帰ってきたのをとびきり喜んだ。出会った時から本当の妹と思ってたっぷり可愛がってきたつもりだ。

だから時たま寂しそうな顔をする春奈に気付かないわけなくて。…本人から直接聞いたわけじゃないけど、両親が言うには血の繋がった兄と別れてしまったことが原因じゃないかって。
元々兄妹がいない私にはきっと本人の気持ちを完璧にわかってあげることはできないけど、妹に寂しい思いはさせたくない。両親から話を聞いてからはより一層可愛がった。
全く寂しくない、なんてことにはならないかもしれないけど、この子が音無家で幸せに暮らせますように。そう思って過ごしてきた。

「お姉ちゃん、私ね、サッカー部のマネージャすることになったの！」
新聞部の期待の新人だとまことしやかに囁かれていた妹からサッカー部へ転部すると聞き、
随分と急だねえ、と目を丸くさせたのはまだ記憶に新しい。

『まさか日本一になっちゃうなんて』
わああ、と、この十何年の人生で聞いたこともないような大きい歓声。遠い観客席から、とびっきりの笑顔を浮かべているであろう妹を思い浮かべた。

試合が終わって、妹は部活の皆さんと打ち上げに行くらしい。お姉ちゃんもおいでよ、皆歓迎してくれるよ！と誘われたけれど、流石に部外者だからそうはいかないよ、気にせず楽しんでおいで、と遠慮する旨のメールを返した。
帰りは迎えに行くから、終わったら連絡してねと添えてから私は先に帰った。

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