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帝国学園サッカー部のグラウンドは、試合が無い限り関係者以外立ち入り禁止。つまり、練習風景を見ることは叶わない、私のような一端の生徒は。
入学当初は、専用のグラウンドが校内にあるとか、サッカーにえらい力を入れてるなあ、くらいしか思ってなかった。サッカーが特別好きでも嫌いでもなかったし。サッカーの大会かなんかで、40年連続優勝してるって聞いた時も、なるほどそりゃこんだけ環境が整備されてるわけだと納得したくらいだった。
そんな私が、毎試合観戦に行くだけで留まらず練習風景まで気になってしまうようになったのは、…まあ自分でも理由はわかってる。
「なあ、お前次の試合もまた来んの？」
『わ、佐久間…急に話しかけないでよ、びっくりするじゃん』
「悪い悪い」
悪びれもなく笑う隣人をじっとり睨む。こいつもそのサッカー部員の一人で、多分、私が毎試合観に行ってるのを知ってる唯一の人。一年生の頃からの付き合いだけど、二年生に上がって急にサッカーに興味を持った私に目を丸くしていた佐久間の顔は、未だ記憶に新しい。
「ま、佐藤なら来るよなぁ、鬼道さん目当てだし」
『誤解を招くような言い方しないで。どこで誰が聞いてるかわかんないんだから…私はあの人のプレイが好きなだけ』
にやにやしながら茶化すこの男は全くわかってない、こいつが口にした鬼道という人がどれほど他生徒の注目を集めているか。…そういえばこいつも注目浴びる側だった、ただでさえあんたの隣ってだけで女子の目線が怖いってのに。
とにかく、もう放課後始まってるんだから早く練習に行きなさいよ。と、目の前でだらだらと荷物をまとめる佐久間の背中をちょっと強めに叩く。いってぇ！この怪力女！と喚くので、私は知らんぷりして自習の準備を始めた。
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作者名：蛍 x他1人 | 作成日時：2023年12月28日 23時
