五話 ページ7
鶴丸side
それは、昨夜、三日月と酒盛りしていた時にあった事だった。
三日月｢今宵の月は綺麗だな。｣
鶴丸｢嗚呼…｣
廊下の奥からﾄﾃﾄﾃと可愛らしい足音が聞こえてきた。
姿を現したのは五虎退だった。
鶴丸｢お？五虎退？何かあったのか？｣
五虎退｢その…そ、相談が…あって…｣
三日月｢そうかそうか。まぁ座れ。｣
五虎退｢あ、ありがとうございます。｣
三日月と俺の間に座った五虎退は、俯きながら話し出した。
五虎退｢きょ、今日、兄弟の間で、いつも通り話していたら、いきなり信濃兄さんが[三条派と遊びたい]と言い出したんです────｣
話を聞いていくうちに、三日月の顔が曇っていった。まぁ、俺もなんだが…
五虎退｢それで、僕、怖くなって、相談にきたんです。厠に行くふりをして。｣
三日月｢成程…な…｣
鶴丸｢こんな驚きはいらなかったのだがな……｣
五虎退｢ぼ、僕！やれる限りのことをしたい！な、なので！その…｣
五虎退｢ぼ、僕…に…闇堕ち状態に見える幻覚を…かけてくれませんか？｣
驚いた。
まさか五虎退にここまで強い意思があるとは。
三日月｢分かった。明日、数名が闇堕ちし始めたあたりに、俺の部屋に来い。幻術をかけてやろう。このことは、俺が出陣から帰還した後、主に説明しよう。｣
五虎退｢あ、ありがとうございます！｣
鶴丸｢五虎退、俺からアドバイスだ。
手加減はするな。｣
五虎退｢手加減…？…わ、分かりました。では、おやすみなさい。｣
粟田口が堕ちるとはな…
三日月｢つる、｣
鶴丸｢何だ？｣
三日月｢戻れると思うか？｣
鶴丸｢……この邪気の量だ。正気の五虎退まで、堕ちてしまうかもしれない。粟田口にバレない程度に、守護でもかけておいた方がいいかもしれないな。｣
三日月｢明日…何も無ければ良いが…な…｣
俺も、三日月も、心からそんなことを願いながら、その日最後の杯を交わした。
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作者名：おもち | 作成日時：2018年4月3日 18時
