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「それはっ…」
そこには生徒が苦手なところ、質問しに来たところがびっしりと全ページにわたって書かれている。
気になった人たちがどんどん集まってきた。
まるで、照れている廉先生を囲むように。
「すげ〜」
「でもちょっと気持ち悪いよ笑」
また笑いが起こるけど、先生を見るみんなの目は温かい。
もう扉の前に立つ生徒は1人もいなかった。
「いいなあ〜、そんなに大事にされてて。
恋愛とかそういうのとは違うけど、ちゃんと先生は見てくれてるってことだよね。
教師1年目でもなかなかできないよー
私も数学は苦手だし将来役に立つかなんて分からないけど、廉先生みたいな人にだったら数学をする理由が分からなくても教わりたいな」
急に静かになった。
「…先生ごめん」
1人が口にすると次々に謝罪の言葉が広がる。
もうええから、と死ぬんじゃないかってほど照れてる廉先生はノートを素早く取り返した。
ふふふ。
「はいはい、じゃあみんな！授業に戻ろ〜！」
いい雰囲気になったところで声をかけて席に戻ろうとしたら頭を叩かれた。
はっ、痛いっ。
「まじで何してんの15番」
「あ！」
「クラス1のバカが勉強のこと語ってんじゃねぇよ」
あわわわわと頭の中がパニックになってるけど、とりあえず足止めしてくれなかった海ちゃん恨む。
廉先生と神宮寺が目配せをして、お互いに微笑んだ気がした。
えっそこ繋がってたの！？
「と、とりあえず！先生を困らせちゃダメだからね！独り占めしたらダメだけど仲良くするんだよ〜」
そう言い残して引きずり出されてしまった。
プリプリ宮寺と一緒に自分のクラスへの廊下を歩く。
「先生も心配だったんですよね。
教室に入るタイミングが良すぎましたもん。
あっ、もしかしてずっと聞いてたんですか？」
「…」
「先生も廉先生のこと好きなんですね！」
ニヤニヤと先生の顔を覗くと
「放課後居残り、プリント10枚
提出期限今日の18時まで」
「えっ！？」
「遅れたら成績４分の1カット」
待って待って、それは重すぎる！
ただでさえギリギリな成績がっ
「先生、せめて5枚…」
「必ず提出」
あれっ、代償が思ったより大きすぎるぞ…
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作者名：ゆいまる | 作成日時：2019年3月2日 20時
