できない。 (ページ12)

今日:7 hit、昨日:1 hit、合計:20,714 hit

. ページ12

昼休憩後の初めての授業でクラスの空気は普通だったら緩んでいるはずなのに、周りはコソコソとなんだか居心地が悪い。

１つ
さっきから隣から熱烈な視線が注がれている

んもう、そんなに見ないでよ！

っていうか、せっかくの若手イケメン教師、永瀬廉先生の授業なんだからみんな集中して受けなさいよ！
嫉妬心からイライラ、かつデレデレしていると突然1人の男子生徒が立ち上がった。

廉先生は気づくけど、驚きのあまり目をむけるだけ。

「どうした…」

「先生～、俺たち数学嫌いなんですよ。
そもそも役に立つんですか？笑」

どこからかクスクスと笑い声が聞こえてクラス中に伝染する。
よく言ったーと茶化す声もチラホラ

「将来に関係ないならやらなくてもいいですよね！
っていうか先生の授業正直つまんないし」

「それな、ずっと思ってたわ
俺らも暇じゃないんで、じゃあ」

クラスが嫌な感じに団結してる。
ほとんどの生徒が教材や筆記用具をしまい出して立ち上がりだした。

扉に手をかける

誰も止めない、先生が困ってるのを楽しんでるみたいで

あ、嫌だ。

嫌、先生にそんな顔させたくない。

「出来た！」

場違いな声に教室にいた全員がこっちを見た。

「やったー！！先生、解けました！
初めて自力でやりましたよ～」

「はあ！？お前っ」

さらに先生が驚いて眉が釣り上がるほど目を見開いている。
出て行こうとしてた人も手が止まった。

「永瀬先生、この人授業の初めからずっとニヤニヤしながらいたんですけど」

さっきの隣の人が喋り出した。

「ちょっと、ニヤニヤって！
私はずーっと見守ってたの！」

先生に笑いかけると、アホやぁって分かりやすく頭を抱えた。
3組に潜入成功
先生、救世主来ましたから！

「先生の授業はやっぱり分かりやすかったです！
みんなが苦手なところを何回も詳しく説明してくれるし、下手だけど絵も描いてくれるし！」

線だけで出来上がるはずなのに、肩から腕にかけてなぜか肉付けされた奇妙な棒人間を指差す。

初めてそれに気づいた人が、えっなにそれって笑ってるけど、それはさっきまでの嫌なやつじゃない。

「いや、よく見たら可愛くない？」

「たしかに可愛い、かな…」

「っていうかマスコットみたい！笑」

先生は恥ずかしくなったのか必至に消し出した。
その隙に教卓に近く。

「それに！先生は生徒1人1人のことちゃんと把握しようとしてくれるでしょ」

思った通り、机に置いてあった一冊のノートを手に取る。