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それからの事はよく覚えていない。どうやって教室に帰って、どんな気持ちで昼飯を一人で食って、どんな授業を受けたのか。いや、最後に関してはいつもだな。とにかくずっと上の空だった。だが自然とバレーをしている時だけはバレーだけに集中することが出来た、『バレーバカ』とはよく言ったものだ。
いつの間にか空は紺色を深める、ちらほらと細かく輝いた星々さえ浮かんでいた。
「Aさん、帰りましょう」
「えっとー…今日は鈴木君が送ってくれるらしくて」
「あ?」
自分でも驚くほど嗄れた声が漏れ出る。その地を這うような音にAさんは小さく肩を揺らした。馬鹿か俺は、怖がらせてどうする。
「俺が送ります。そいつ…じゃねぇ鈴木さんにもそう言っといてください」
「でも鈴木君わざわざ部活終わるの待っててくれたんだよ?急に断るなんてなんだか失礼じゃない…」
「Aさんが言えねぇなら俺が言います」
「ちょっと!ねぇ影山君!なんか最近変だよ?」
ピクッと身体が反応した。俺が変?馬鹿言うな、変なのはAさんだろ。今までずっと俺の隣で笑ってたくせに最近は鈴木君鈴木君って、「いい加減にして」はこっちの台詞だ。
頭のどっかでは分かっていた、この独占欲は可笑しいということに。だけどそれは留まることを知らない、留め方さえ分からないのだ。全て聞けてしまえば、きっと楽になる。留まるかどうかは知ったこっちゃない。留める必要があるのかなんて、俺に分かるわけないだろう。開き直ったせいか、ずっと聞きたかった疑問は呆気なく口から溢れた。
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めいゆえ(プロフ) - まいさん» 応援していただきありがとうございます! (2022年8月29日 11時) (レス) id: 396e1f2020 (このIDを非表示/違反報告)
まい - ずっと荒らされてて可哀想。応援してます。荒らしてる方こそ良心の呵責(笑)ないのかよ (2022年8月28日 13時) (レス) id: 10ee86ddc2 (このIDを非表示/違反報告)
A - ずっと自演していて良心の呵責はないのでしょうか? もうユーザーの方を悪質ユーザーとして通報させていただきます。 (2022年8月28日 11時) (レス) id: 8276257951 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:めいゆえ | 作成日時:2022年8月28日 10時