【名探偵コナン】愛されガールはツイてない！ (ページ8)

今日:4 hit、昨日:3 hit、合計:22,617 hit

第8話：蜜蜂の訪れページ8

芋虫のような指は太腿(ふともも)から腹、胸、首へと這い回る。触られる度に怖気(おぞけ)がして、鳥肌が止みそうもない。

｢き、君がいけないんだ！そんな蠱惑(こわく)するような眼差しで俺を弄(もてあそ)ぶから…！｣

身に覚えがない、と思うのも無理ないだろう。この男の独り善(よ)がりな妄想に付き合っている暇はない。然(しか)し、女子高生と30半ば辺りの男とでは力の差がありすぎる。抵抗すれば命さえ危うい。じゃあどうしたらいいのだ、と考えれば考える程分からなくなり堂々巡りするだけだった。

｢あぁ…あぁなんて綺麗な柔肌なんだ…傷一つ無い、白くて優しい肌…｣

｢や、やめ…｣

男は私の服を捲り上げ吸い付くように身体を這う。いよいよ本当に貞操を奪われかねん。終わった、そう感じた瞬間一気に強ばった体から力が抜けた。もう考えたって仕方がない、どうせ大人しく助けを待つ事しかできないのだ。

刹那、向かいのドアが勢い良く開いた。

｢A！…おっさん、Aに何してくれとんねん｣

｢…服部君！｣

服部君は男を逃がさんと言わんばかりに睨め付ける。助けが来たという安堵(あんど)から強烈な眠気が私を襲う。これはあくまで推測だが、恐らく寝る前に飲んだレモンティーに睡眠薬でも仕込まれていたのだろう。でなければこんなに眠くなるわけがない。これ以上睡魔には勝てそうもない、きっとこの男は服部君達がどうにかしてくれるはずだ。そう信じて、私は再び眠る事にした。