第六十訓 紅桜篇 ページ13
Aサイド
「あァ？これで何人目だよ。浪人ばっかり狙った辻斬りなんてよ はぁ...困ったもんだぜ」
「かれこれ10人目ぐらいですかね、そうそうに犯人を捕まえないとだめです」
そう、最近は辻斬りが多い。事件なわけあって真選組も出動するのだが、全くと言っていいほど情報がない。さて、どうしたものか
「おい、どこに行こうとしてる」
「情報集めを兼ねた見回りです。あれ、言ってませんでしたっけ？」
「いや、なんでもねぇ... あんま遅くなんなよ」
副長の曖昧とも言う返事に、努力はしますと返し町に出る。辻斬りが出るのは夜だから守れないと思っての返事だ
副長も分かっていてくれてるはずだ
とりあえずは辻斬りが起きた場所を当たってみた。それらの共通点は人通りが少なく、街灯もあまりないところ。こうなると計画的犯行の様にも思える、浪人ばかり狙われているのも含めて
それと有力な情報を得られた。遠目から辻斬りを見た人がその刀ははまるで生き物の様だったと話してくれた。おそらく妖刀か...
あー、もう嫌な予感しかしないな
「どこかで嗅いだことのある匂いかと思えば、真選組の小鳥遊Aか」
「貴方は...人斬り似蔵？」
「アンタに会いたかったよ」
いや私は会いたくなかったけれど
辻斬りについて考えていたら後ろから現れたのはいつぞやの人斬り。どうやら私に会いたかったらしいのだが正直嬉しくない、だって嫌な予感しかしないから
「桂にアンタ会いたいやつに会わせてくれるとは俺にとっては吉兆と呼ぶ刀かもしれん」
そう言われて気づいた。今日は桂に会っていないこと、私が1人で見回りのときは必ず飛び出てくるのに今日は会っていないのは少し違和感がある。それに今の似蔵の発言...もしかしてというより確実に...
「貴方が辻斬りの犯人？」
「そうだよ、と言ってもこの『紅桜』が斬っただけなんだが」
あっさりと認めた似蔵、今までの辻斬りはこいつが犯人。そして今手にしている刀は妖刀だ。
斬ったのがどちらとか関係ない、警察としてこいつを逮捕しなければならない
すっと懐の短刀を抜くと似蔵は驚いた顔をした
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作者名：ねこよこ | 作成日時：2018年4月15日 21時
