原石と雪男、体調悪いんだって 4

. ページ15

松村side




スタッフ「はい、松村くんクランクインです！」


パチパチと拍手で迎えられて

ペコペコ頭を下げながら皆さんの前に出る




ドラマの撮影っていっても、

冒頭からの撮影の場合は少なくて、


今回もその場合だけど

いきなり10話のシーンとかから撮ることもある





そして最悪なことに、

っていうか、言い方を改めると

今の俺にとっては都合の悪いシーンの撮影で




監督「じゃあ雨の中のシーンね！」




そう、雨に打たれながらのシーン


実際に悪天候の中撮影するから、

体は凍えるし唇も色が悪くなってくる



それに、このシーンは

出て行った女の子を雨の中探すっていうシーンで


でっかいグラウンドを駆け抜けたり

公道をびしょ濡れのまま走ったり

そういうことが多い上に、


最終的には公園のブランコで

結構長い時間雨に打たれてなくちゃいけない






台本を読んだ時から覚悟してたけど、

実際の現場にくると、緊張するというか

体が逃げようとしてるのが伝わってくる





演出「じゃあまずここに立って、あそこまで走ってください。カメラが追いかけるので」



ギリギリまで傘の中で待機をして

いざ本番っていう時、


肌に当たる雨が予想以上に冷たくて

今日体が保つかが心配になった









監督「はい！OK！いいの撮れたよ！」




その声を聞いてその場に座り込む


体力が奪われてるなんてもんじゃない

目の前は変に歪んでるし

手足は感覚がほとんどないのに、

なぜかビリビリ痺れてる感じがするし


このまま倒れてしまいたい



そう思ったけど、

この次は単独でのインタビューがある





マネ「松村くん！立てる？大丈夫？」


マネに支えられてロケ車に乗って

衣装さんとメイクさんに髪を乾かしてもらって

自分で用意してた着替えの服を出してもらう




マネ「怠くない？大丈夫？」

松村「ん、……だいじょぶ」





大丈夫？

んなわけないじゃん



そう思うけど、

今は口に出さないでギュッと押さえ込む





松村「つぎ、しごと、なんじ？」



途切れ途切れで聞き取りづらい俺の日本語を

マネはなんとか聞き取ってくれたみたいで



マネ「あと20分でここ出て、1時間後には開始」

松村「ん、ありがと」




1時間後

じゃあ移動と衣装とメイクを合わせて

ほとんど寝る時間はないな







いや大御所かよ


そうツッコミたくなるスケジュールに



笑いと共に、何故か涙が出てきそうになった

.→←.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す