9話 ページ10
轟side
「そーゆーの誰にでも言うもんじゃねぇぞ」
手元が狂うだろ、と思ったけど言わなかった。
「えぇ、誰にでもじゃねーよ轟サンの横顔がイケメンだから言っただけー。」
なんてことなさそうにさらっとそーゆー事言うもんだから言い慣れてんだろうな、と思った。
「着いたぞ。」
なんて、誤魔化す。
くそ、中学生の言葉なんて聞く耳持つな。
「轟サン。」
車から降りねぇなって思ってたら、いきなり呼ばれる。
シートベルトを外し、大狼に向かい合う。
「どうした。」
「俺さ、轟サンの事、口説いてんだけど。」
「……は」
想定外すぎる言葉だった。
まさかそんな事言われるなんて。
「……口説いて、どうしたいんだ。」
「助けて欲しい。」
考えたいってやつ…、一応こいつなりに考えていたのか。
「俺あんた好きだな〜、だから轟サンになら助けて欲しいって思った。」
少しだけ真剣な顔で言う。
昨日会ったような奴に任せてもいいのか。
助けてやるとは言ったし、ヒーローとはそーゆーもんだが。
「俺はいつでも大歓迎だが、それと口説くのと何が関係あるんだ？」
「口説いた方が乗ってくれそうだなって。轟サン俺の事嫌いじゃないでしょ」
「お前は人の事を良く見てんだな。…そんな事しなくたって助けてやるが。」
それに、嫌いじゃないどころじゃない。
見て見ぬふりをした独占欲を心の中でチラリと見る。
大狼が欲しい。
俺がそう思っているのはきっと事実で。
「そうやって、何かを引き換えながら生きてきたのか。」
「…見据えた様な事言わないでくれよ。」
と、笑う。
これは偽物。
俺は大狼の頭を撫でる。
無粋な事を言ったな、なんて少し悔やまれる。
「俺はお前を助ける。守りてぇって言っただろ。」
金色の瞳は揺れる。
その瞳は、泣きそうだった。
.
「とにかく証拠がないと、俺達は動けない。だから、これをポケットに忍ばせとけ。」
俺は小型盗聴器を渡す。
あと映像があれば完璧なんだがな。
俺は、勝手に大狼を信頼している。
中学生にしては大人びているその態度のせいだと、勝手に責任をはんぶんこして。
俺達は連絡先を交換する。
「ねぇ、轟サン。……俺の事、そんなに信頼していいの？昨日会ったばっかの子供なんですけど。もし嘘だったらどうすんの？轟サンの連絡先クラスの女子とかに売ったりする奴かもしれないじゃん。」
大狼は不安そうに言う。
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春千瑠 - めっちゃめちゃ面白いです❗これからも応援します❗更新頑張ってください (2022年12月29日 12時) (
レス) @page20 id: 6c259301f0 (このIDを非表示/違反報告)
んく - やばい！主人公が好みすぎる！更新、待ってます！ (2021年9月5日 20時) (レス) id: 8afb8675a5 (このIDを非表示/違反報告)
虚(プロフ) - 好きですっ！とても良い作品ですねっ！お気に入り失礼しますっ！更新幾らでも待ってますっ！ (2020年3月14日 23時) (レス) id: 7c0e52b0b9 (このIDを非表示/違反報告)
アカヤ - かっちゃんとの絡みがめちゃくちゃ可愛いですっ！！これからも頑張ってください！ (2019年4月30日 18時) (レス) id: ba5e1e3f04 (このIDを非表示/違反報告)
あげまき(プロフ) - 暗黒破壊神＠さん» コメントありがとうございます！！存分の楽しんで頂けたら幸いです…！！ (2019年4月7日 4時) (レス) id: 982f0426be (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あげまき | 作成日時：2019年2月8日 17時
