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川上｢あの話で、男はこんな天気にも関わらず女を盗んだやろ。そうまでして一緒にいたいってどんな感じなんかな、ってずっと不思議だったんよ。｣
あなた｢…わかったんですか？｣
川上｢わからん。でも、ちょっとだけ正解に近づいたような気はする。｣
あなた｢…でも、芥川と今は違いますよ。だって、川上さんはそばにいてくれてるじゃないですか。これなら、もし鬼が私を食べに来ても川上さんが助けてくれますね笑｣
そう言って薄く笑うAを、俺はどう受け止めたらいいんだろう。
自分でもなんでこの状況を芥川と重ねたのか分からない。
共通してるのは天気だけなのに。
現代では身分の違いで結婚出来ないなんてことはあまりないし、俺がAを盗んだ訳でもないのに。
川上｢…大丈夫やで、天神さんは怒っとらん。お前は伊勢物語の女でもない。鬼に食べられることもないし原因不明の病で死ぬこともない。…きっと通り雨や、すぐ止むよ。｣
自分でもビックリするくらい優しい声と言葉が出る。
Aと同じ学部で良かった。共通で分かる話題があった。
あなた｢…川上さん、知ってますか？芥川で出てくる鬼って、実際は女のお兄さんなんですよ。天皇の后にしようと思ってた妹をまだ身分の低い男に取られるなんてって思ったお兄さんが男から女を取り返しに来たのを、鬼に女が食べられたって表現したんですよ。｣
川上｢へぇ、そうなんや。昔の女って不幸よな、自分の気持ちは考えられもせずに、出世したいって親の欲望で天皇と結婚させられたり、戦国時代だと領地をひろげたい、仲間を増やしたいってよー知らん大名と結婚させられたり。道具みたいに使われて。｣
あなた｢…そうですね、不幸かもしれないです。でも、芥川の女みたいに、盗むほど自分を愛してくれる人が一人でもいたら、ちょっとだけでも幸せなんじゃないなって。｣
川上｢そういうもんかなぁ。｣
俺と話してて落ち着いてきたと思ったら、また白く光って今までで一番大きく音がなった。
あなた｢ひっ…｣
またAが一歩俺に近づく。その距離ほぼゼロ。
川上｢…うわ、雨ひど…今日帰れるかな…｣
外は土砂降りの雨。雷は止みそうにない。
電車は止まるかもしれない。
川上｢…A、お前、家どこ？｣
あなた｢…えっ、か、帰るんですか…？｣
川上｢この雨やから電車止まるかもしれんやろ。俺はここに泊まればええけど、お前はそういう訳にもいかんし。電車が動かなくなる前に帰った方がええやろ。｣
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蒼暉(プロフ) - 現実逃避あるふぁさん» そう言っていただけて嬉しいです！これからも応援よろしくお願いします！ (2019年10月2日 20時) (
レス) id: 9d4d633b18 (このIDを非表示/違反報告)
現実逃避あるふぁ - このお話めっちゃ好きです！更新待ってます！ (2019年9月28日 21時) (レス) id: 9e6e3a6762 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蒼暉 | 作成日時：2019年9月8日 0時
