Tell me.【Kishi/Hirano】 (ページ8)

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涙はやがてページ8

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聞き覚えのある声に振り向けば。

『っ、なんで…ここにいるのよ…

岸…』

岸が、そこにいた。

今は、誰とも会いたくなかったのに。

ましてや、同期の岸なんて…
泣いてるとこ見られて、馬鹿にされること間違いなしじゃない。

でも、その直後だった。

岸が私の頭を優しく撫でたのは。

「お前さぁ、あんま溜め込みすぎんなよ？

事情はよくわかんねぇけど…
俺で良ければいつでも相談乗ってやっから」

私は、“苦しい”とも、“助けて”とも、何もいっていないのに。
どうして、私が安心できる言葉ばかり並べるの？

『岸のクセに、生意気』

「はぁ!?人が心配してやってるっていうのに!!」

いじられながらも、不器用に頭を撫で続けてくれるあたり、彼はすごく優しいのだと思う。

名は体を表すって、このことなのね。

「よしっ、じゃあ気分転換に遊びにでもいくか！」

『えっ？ちょ、仕事は？』

「たまには有休使ってもいいんじゃね？
俺らここんとこずっと働きっぱだっだじゃん」

「いこ！」って、岸が手を引くから。
私は仕方なくついていっただけ。
それだけ。

今だけは、何もかも忘れて。

白い歯を向けて微笑む、太陽みたいな彼に照らされていたい。

そう思ったの。

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