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スマホで時間を確認しようとバッグから取り出す。
そこに、一件の通知。
『紫耀…さん…』
愛しい彼の名前。
平野、紫耀さん。同じ職場だけど部署が違う先輩。
紫耀さんからは“今日の夜会いたい”というメッセージが。
スマホを触る指先から全身に、熱が帯びていく。
そんなの、行かないわけない。
遠くからは岸の声が聞こえるけど、無視して私は仕事に戻った。
「ほんっと、お前って時々読めねぇのな」
そう、カラカラっと鈴みたいに笑う彼。
岸になんか、読めなくていいよ。
てか、読まれちゃ困る。
この恋は私の中でそっと蓋をしておくの。
赤い糸が絡まりあって、私は一人、待ち続ける。
ガラスの靴を履いてない私に、王子様なんて現れるわけないのに。
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かなと - オリジナルフラグをお外し下さい (2019年7月4日 21時) (
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作者名：いすず | 作成日時：2019年7月4日 21時
