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『おはよ、』
「よぉ、おはよ」
仕事場に着いたあとは、同期の岸に声をかけることが日課だ。
「この間のプレゼン、うまくいった？」
『まぁ、ぼちぼちかな』
「なんだよそれ」
一体、このくしゃっと笑う岸に、どれ程の女の子が堕ちたんだろうか。
人あたりもよく、常にストイックで出世コースまっしぐら。
おまけに身長が高くない割にはスタイルも良く、顔も属に言うイケメンで。
そんな岸だけど、私は堕ちてなんかやんない。
これは私の、軽い意地。
「あれ、お前口紅の色変えたの？」
『…別に。
気分がこれだっただけだし』
岸は変化に鋭いから、少しこわい時がある。
何故なら私はいつも深紅の色のティントを使ってる。
でも、それは“彼”の前だからなの。
今日は。
都合の良い女になりたくなくて。
反抗するように桃色のティントを塗ってみた。
「ふ〜ん、変なの」
『岸には一生分かんないよ』
本命の彼女がいる、彼の“彼女”の気持ちなんて。
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かなと - オリジナルフラグをお外し下さい (2019年7月4日 21時) (
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作者名：いすず | 作成日時：2019年7月4日 21時
