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翌朝、
カーテンから差し込む太陽の光で目が覚めた。
「あれ、佐久間さんいない」
昨晩一緒にベッドに入ったはずなのに
佐久間さんの姿が見えない。
起き上がって部屋を見回してみたけど
やっぱりいない。
こんな高校生といるの嫌だったのかな。
そうだよね、きっと佐久間さんは
もっと大人の綺麗な女性が好きだよね。
こんなお子ちゃま相手にするわけないか。
私が寝るまで一緒にいてくれたことに感謝しなきゃ。
もう、帰ろう。
ぽたぽたと落ちてくる涙を手で拭いながら
帰る支度をしていた時、
ガチャリとドアが開いて
走ったのか、髪が少し乱れている佐久間さんが入ってきた。
『Aちゃん!?どうしたの!?』
玄関からバタバタと駆け寄ってきて
心配そうな表情の佐久間さんが私の目元を拭う。
『どうしたの?何で泣いてるの?』
「…佐久間さんが、いなかったから、」
私の事が嫌になって帰っちゃったのかと思って、と
続けて伝えれば、
『わっ!ごめん!』
佐久間さんは本当に申し訳なさそうな顔をしながら
私を抱き寄せて、嫌になんかなってないよ、
そう言ってくれた。
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どうやら佐久間さんは
私の朝食を買いに行ってくれていたみたいで、
さっき焦った佐久間さんの手元から落とされた袋の中には
カットされたりんご、おにぎり、パンなどが入っていた。
あんまり食欲がわかなかった私は
おにぎりを一つだけ頂いて食べた、
一方佐久間さんは、私の隣で
口いっぱいにりんごを詰め込んで
まるでハムスターのようにもぐもぐと口を動かしていた。
「佐久間さん」
『んにゃ?どちた?』
「今日蓮と別れてこようと思います」
そう、これは昨日決めたこと。
他の子が好きな蓮をずっと縛って置くのは嫌だし、
それに、なんとなく、
今日佐久間さんに背中を押してもらえたら
前を向ける気がしたから。
『そっか、勇気出すんだね。偉いよAちゃん。』
「佐久間さん、一つだけお願い聞いてください」
「1回だけでいいので、ハグとキスをして欲しいんです」
『え?』
わたしの願いを聞いた佐久間さんは案の定驚いた表情。
「私頑張るので、お願いし」
私が言葉を言い終わる前に、佐久間さんは
ぎゅーーーっとハグをしてくれた。
そして、最後に交わしたキスは
さっき佐久間さんが食べていたりんごの味がした。
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Ryuna(プロフ) - ななさん» コメントありがとうございます😖皆様に楽しんで頂けるようなお話が書けるよう頑張ります!! (2021年11月29日 7時) (レス) id: 15daca4bb2 (このIDを非表示/違反報告)
なな(プロフ) - テスト頑張ってください!次の更新も楽しみにしています😊 (2021年11月29日 0時) (レス) @page32 id: 389e3db5f6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Ryuna | 作成日時:2021年11月2日 19時