君を助けたい１ ページ2
あれから何とか彼を支えて歩き、タクシーで家までたどり着くと力尽きてドタッと玄関に倒れこんだ。
「お…重かった…」
細身だけれどそこはやっぱり男の子。
アパートの階段を登るのはかなりキツかった。
その彼はというと床に寝転んだままスヤスヤと眠っている。
明るいところで改めて顔を見てみると、なかなかの美形であることがわかる。
無防備な寝顔はまさに天使だった。
「…可愛い」
思わず呟く。
とりあえずソファーに寝かせ、ブランケットを掛けるとやっと一息つけた気がした。
静かな部屋に彼の規則正しい寝息だけが聞こえる。
我ながらとんでもないことをしてしまったものだ。
どこの誰だかわからない男の子を家に連れてきてしまった。
危険なのは百も承知なのに、どうしてもこの子を見捨てることができなかった。
あのまま放っておいたらどこかに消えてしまいそうな何とも儚げな感じが私を駆り立てたのかもしれない。
とにかく今は深い眠りについているようだし、明日の朝目が覚めたら帰してあげよう。
この時はそんな風に気楽に構えていた。
あくる日の朝。
目が覚めた私はそのままゆっくりと体を起こした。
今日は土曜日だからいつもならまだ寝ているところだけれど、例の男の子の様子が気になる。
そーっと寝室のドアを開けると
「………」
ほぼ昨夜の状態のままでぐっすり眠っているようだった。
起こさないようにソロソロとキッチンへ向かおうとするも、途中で電気コードにつまづく。
「わっ」
思わず声が出てしまった。
慌てて口を抑えたけれど時すでに遅し。
「……ん……？」
男の子が薄く目を開いた。
その様子を私は固唾をのんで見守る。
「…………ここ…どこ……？」
ボーッとした表情で周囲を見渡している。
そして壁際で突っ立っている私に気づいた。
「え……お姉さん…誰…ですか…？」
男の子が目を丸くした。
「えーと…昨日のことは……覚えてないよね」
「昨日…？」
「君が繁華街で酔っ払って倒れてたからうちまで連れてきたの」
経緯を伝えると、彼はしまった…という感じで頭を抱えた。
「あー……またやっちゃったのか……」
ん？またって言った？
「こういうことよくあるの…？」
思わず聞き返すと
「はい…。ご迷惑おかけしてすみません」
深々と頭を下げた。
「いや、それはいいんだけど…」
「すぐ…出て行きますから」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1821人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「BTS」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
もりぞう(プロフ) - すみれさん» ありがとうございます！！嬉しいです(^^) (5月31日 11時) (
レス) id: a002e2b5b9 (このIDを非表示/違反報告)
すみれ - 素敵なお話ですね。 (5月19日 18時) (レス) @page28 id: edc49f412e (このIDを非表示/違反報告)
もりぞう(プロフ) - miiさん» コメントありがとうございます！好きと言ってもらえてとても嬉しいです(^^) (2021年8月18日 20時) (レス) id: a002e2b5b9 (このIDを非表示/違反報告)
mii(プロフ) - はい、好きー (2021年8月18日 7時) (レス) id: d47eb74ff4 (このIDを非表示/違反報告)
もりぞう(プロフ) - けろるさん» コメありがとうございます！最高過ぎなどと言ってもらえて本当嬉しいです(〃ω〃)これからも頑張りますー(*´∇｀*)よろしくお願いします！ (2019年2月25日 22時) (レス) id: a002e2b5b9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：もりぞう
| 作成日時：2019年2月3日 20時
