ジミンちゃんと付き合っています。３【完】

世界を敵に回しても２ ページ22

「そんなことまでして…」



過激なファンがいることは知っていたけれど部屋を外から盗撮するなんてどう考えても常軌を逸している。



「以前からサセン行為はあったけど、まさかここまでするとは思わなかった」



そう言ってジミンちゃんは力なくソファに体を沈めた。



「これから…どうなるの…？」



足元に膝をついて手を握る。



「わからない…。今事務所の方で話し合いがされてるらしいから、なんらかの対応は取るはずだけど…


おそらく交際を認めるようなことはしないと思う」



「そ、そっか…。そうだよね」



人気絶頂の今、恋人の存在など絶対に認めるわけにはいかないだろう。



「本当にごめん…こんなことになって。


ヌナの写真まで載せられちゃって」



ジミンちゃんが辛そうに私を見つめながら手を握り返す。



「ううん、私は大丈夫だよ。幸い顔は出てないし。


でも…迂闊だった…。カーテンは開けないように気をつけてたのに、こんな一瞬の隙を突かれるなんて」



「仕方ないよ。相手はこの瞬間を狙ってずっと待ってたんだろうし。


ヌナが気にすることじゃない」



優しい瞳が向けられるとなんだか泣きそうになる。



「私達…どうなるのかな…



まさか、別れなきゃいけなくなったりとか…」



どうしても最悪の事態を想像してしまう。



「そんなこと絶対させない。ヌナだけは何があっても手放すつもりないよ」



「ジミンちゃん…」



「ごめんね、不安にさせて。


ヌナは何にも心配しなくて大丈夫だから」



私を安心させるようににっこりと微笑んだ。



「うん…ありがとう」



「そんな泣きそうな顔しないで」



ジミンちゃんが困ったように頰を撫でた。



「ごめん…なんか、突然のことで…



頭が混乱しちゃって」



アイドルである彼と付き合っている時点で、こういうことが起こる可能性も考えてはいた。



けれど、実際にその渦中に放り込まれると、自分にはなんの覚悟もできていなかったことに気付かされる。



「無理もないよ。僕もまだ頭の中パニクってる。


でも…なんとかするから。



ヌナと離れることだけは絶対ないから…安心して？」




そう言ってぎゅっと抱きしめられた。



一番傷ついてるのはジミンちゃんのはずなのに、どうしてこの子はこんなに優しいんだろう。



年上のくせにただ戸惑うばかりで、自分の不甲斐なさを思い知らされる。



「ありがとう…」



胸に顔を埋めるとちょっと泣きそうになった。

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