【新・信長公記】桜馨るこの日々に 2

71話 ページ23

「ミラクル的な何かが起こせればいいんですけど……」

勝機を窺うも相手は容赦なく次々と発泡してくる。上手く交わそうにも身動きが取れない瞬間を狙われてしまい、何度か被弾した。

しかし馨とてやられっぱなしではない。不利な状況下ではあったが、相手にも数発撃ち込む事ができた。
ただ、それでも昏倒させるとまではいかなかったが。

残り時間3分。逃げる馨を追う相手もまた、2階吹き抜け通路を走り回っており、互いに息も切れ切れだった。

「どうせなら、勝って格好良く終わりたいんですのよ……！」

身体の弱い馨からしたら、今回は大健闘であった。普段こういう事に参加する事はまずなく、もう勝利は目の前。そんな状況が馨の闘争心に火を付けたらしい。
逃げ回る事は辞め、正々堂々と決着をつけよう、という心意気になってしまった。

「……と、決意したのはいいものの…………」

床に倒れ込みながら自身の脚を見つめる。実は先程相手の弾が脚に当たってしまい、今までの疲労もあり動けなくなってしまったのだ。

「負けても失うものはありませんけど……何か格好悪いんですのよね」

残りは1分。死に物狂いで相手の弾を弾で弾く事は出来るようになったが、それだけではまだ足りない。

(考えなさい私！ どうしたらあの人にいいのを当てられる！？ 付け焼き刃とは言え、お互いがお互いの弾を弾ける……どうすれば…………あっ)

ある事を思いついた。できるかわからない、完全に運任せの案だが、やってみるだけの価値はあるはず。残り時間はもう少ない。

「やってやりますわ……！！」

最期の力を振り絞り立ち上がり銃を構え、ゆっくりと標準を合わせる。相手も構え……ほぼ同時に撃った。
馨はもう限界だったのか、反動で床に倒れてしまった。

弾は空中で弾け、床に落下する。しかし……

「ぃよっしゃ当たりましたわ！！！！」

何故か相手に弾が当たり、相手は気絶してしまった。これには魔村だけではなく理事長も驚愕していた。

数秒も経たずにタイマーが00：00になり、ブザーが鳴る。
立ち上がり、嬉しそうに微笑み

「言ったでしょう？ 全員、跪かせる……って」

「時間です。山崎馨さんの勝利！」

勝利を告げる法螺貝の音が響いた。

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オリジナル旗印戦、長くて申し訳ないです……！！
もう少しで本編に戻せるはずなので、もうしばらくお待ちください……！！

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