61話 ページ13
「…………ごめん馨ちゃん」
いつもの右ポケットに手を入れ、飴を取り出す上杉。急いでいるせいかやや乱暴に包みを剥がし、馨に差し出した。
「あは、ありがとう……ござ、ます…………」
まず口をゆすがせた方がいいのだろうが、時間がない。今は少しでも症状を抑える方が大事だった。馨は、血の味で飴の苦みがわからないのだろう、必死で舐めていく。
数分後、荒かった息がようやく落ち着いた。それを見た上杉も安堵し馨の背を擦り、その細さに驚く。
「はぁ、申し訳ございません。上杉様のお手を煩わせてしまいましたわ。この借りは、いつか必ず」
落ち着いた事で思考がハッキリとしたのだろう。罪悪感が押し寄せ、逃げるべくふらつきながらも立ち上がるが上杉に止められた。
「大丈夫だよ、馨ちゃん。この間の事を気にする必要はない、あれは誰がどう見ても家康が悪いんだから」
「っ、でも……！」
あの時、あの言い方では誰も信じていないと言ったようなものだ。それなのに、どうしてここまでしてくれるのか馨にはわからない。
「信頼なんてできなくてもいいよ。少なくとも俺達はそう思ってる。会って数ヶ月も経っていない相手を信用しろ、なんて無理だろ？ しなくていいんだそんなの。君が傷付くくらいなら…………でも馨ちゃん、俺達を避けるような事はしないで。それは、寂しいからさ」
「仲良くして……くださるんですか」
「もちろん」
「わたしが、清正様以外誰も信じられなくても……？」
「ああ、それでもみんな君といたいんだよ」
「っ……少し、考えさせてください」
「……もう大丈夫？」
「はい……清正様の元に向かうので、大丈夫です。本当に……色々とありがとうございました」
少しよろけてはいるが、しっかりと立ち上杉に深々と頭を下げて馨は空き教室を出て行った。
そんな彼女の後ろ姿を見ながら上杉は頬を緩める。
実を言うと、上杉は気が付いていた。正確には違和感を覚えていたくらいだが。
いつも何処か加藤以外の人間とは一線を引いていた馨を、不思議に思ってはいた。ただ、それが何故なのかまでは考えていなかったが。そして、先日の家康との会話で気付いてしまった。
あの子はきっと、信用と裏切りを幾度となく繰り返し心が疲弊しきっているのだと。
それでも、馨が離れずにいてくれるだろう事を考えて嬉しくなった。いつかきっと。そんな事を想いながら見ていた。
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Chiharu(プロフ) - ミルクチョコさん» コメントありがとうございます！ なるほど、須賀君かっこいいですもんね〜！ ドラマ見たあとしばらくハマってました笑 犬飼君とか笑 最近更新なくてすみません！ 読んでくれてありがとうございます😭 (2023年1月13日 22時) (
レス) id: 7076ed243d (このIDを非表示/違反報告)
ミルクチョコ(プロフ) - 私は加藤くんですね！Chiharuさんのお気持ちわかります！まあ好きな理由はその役をやっている須賀健太君が好きなだけなんですけどねｗｗ (2023年1月12日 17時) (レス) @page8 id: 90f93b6301 (このIDを非表示/違反報告)
Chiharu(プロフ) - オタくん♀さん» コメントありがとうございます！ これからもそう言っていただけるよう頑張りますね！ (2022年12月12日 18時) (レス) id: 7076ed243d (このIDを非表示/違反報告)
オタくん♀(プロフ) - 好きです! (2022年12月10日 20時) (レス) @page30 id: 487a14ebf8 (このIDを非表示/違反報告)
Chiharu(プロフ) - ふゆうさん» コメントありがとうございます！ きゅんきゅんゲームはキンプリのライブDVDに収録されているコントコーナーのものです！笑 実際のセリフをほぼ丸パクリしてるだけですので……！ それでも楽しんで頂けたようで幸いです！ (2022年10月22日 18時) (レス) id: 7076ed243d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Chiharu | 作成日時：2022年10月7日 17時
