13話 ページ15
「あら上杉様。琵琶、大変お上手でしたよ!」
「ありがとう、山崎。でもあんまり僕を褒めると君の旦那さんが拗ねちゃうよ?」
「ふふ、お気遣いありがとうございます。けれど、清正様の許可はちゃんと得ておりますわ」
「ならいいけど」
その後数分、あの琵琶の音色の素晴らしさをこんこんと語った馨。いつも加藤以外の他人とは中々話さない彼女がこんなにも喋っていると、ほんの少し注目を集めていた。
しばらく話して満足したのか、加藤の膝に帰ってきた。
「馨、飴忘れてるくさ」
「ああ、そうでした! ありがとうございます」
慣れた手つきでポケットから飴を取り出す。いつもなら忘れはしないだろうが、今日は朝から刺激的な事があった。今だ興奮冷めやらぬままのため、忘れていたようだ。口に入れた瞬間
「一同、注目」
魔村が水晶を持って教室に入ってきた。慌てて隣の席に移動する。
「おはよう」
水晶の中から理事長が現れ挨拶をしていた。
「今日から特進クラスに転校生が加わります」
「フッ、急だな」
「どうぞ」
入ってきたのはサングラスをかけたどう見ても15歳には見えない男。
「徳川家康だ」
仲良くするよう言われたが、向こうに仲良くする気が一切なさそうなのは一目瞭然である。
早速特進クラスのチンピラ代表4人組が声をかけに行った。嫌な予感がし、馨はほぼ無意識的に加藤の膝に戻る。
「おい! 何だ? お前そのグラサン」
「ゴミが目に入らないようにな」
「……おいてめぇ、こっち見ろよ。ビビってんのか?」
「ゴミをまじまじと見つめる人間がどこにいる?」
「チッ……ゴミだぁ?」
今にも井伊が手を出しそうな雰囲気になり、秀吉が慌てて仲裁に入る。
「まぁまぁ……2人とも落ち着いて。どうしてもいうなら 旗印戦で」
「旗印戦ね。いかにもゴミどもが喜びそうな催しだ。しかも、あの使い古されたボロボロのホウキみたいな頭のヤツがトップとは……高が知れている」
あまりにも失礼すぎる人間が入ってきましたわね、と若干ドン引いていたのだが、信長の焼けた焼けた〜! という嬉しそうな声で空気が変わった。
「ホタテ今焼くぅ!?」
「煙たいと思ったら、今度はホタテ……段々美味しそうになっていってますわね……」
「また助けられたなぁ。見てたぞ、お前が救われたとこ。信長に貰ったニセモノの勝利だ」
その言葉が、やけに気になって仕方がなかった。
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タカコ(プロフ) - 嬉しいです!楽しみにしてます! (2022年10月6日 11時) (レス) id: e1a7229537 (このIDを非表示/違反報告)
Chiharu(プロフ) - タカコさん» 旗印戦のあれこれは本編にねじ込む予定です。馴れ初めは番外編に入れてもいいかもしれませんね! ご意見ありがとうございます! 近日中に出す続編でも番外編について触れてみようと思います! (2022年10月6日 11時) (レス) id: 7076ed243d (このIDを非表示/違反報告)
タカコ(プロフ) - はい、最終回後の話やドラマでは無かったオリジナルの旗印戦、加藤くんと夢主ちゃんの馴れ初めなんかを読んでみたいです(*≧∀≦*) (2022年10月6日 8時) (レス) id: e1a7229537 (このIDを非表示/違反報告)
Chiharu(プロフ) - タカコさん» コメントありがとうございます! 今のところ考えてはいませんが、こういうシチュエーションが見たい! という希望が多く集まればやる可能性もあるとは思います。最終回より後の話を番外編にするのもアリですね🤔 (2022年10月6日 2時) (レス) id: 7076ed243d (このIDを非表示/違反報告)
タカコ(プロフ) - Chiharuさん、一つ質問します。この小説の番外編って作る予定は無いですか? (2022年10月5日 23時) (レス) id: 3e1c504208 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Chiharu | 作成日時:2022年9月25日 5時