135話 ページ37
このままいけば次は梅雨ちゃんなんだけど、気分が優れないらしくて部屋で休んでるみたい。
ん、てことは次私！？
「んー……仕方ない。焦凍くん、ちょっと降りるね。重いでしょ？」
「軽いけどな。気を付けて降りれよ」
「ん、ありがと」
久々に床に立った……。焦凍くんと手を繋ぎなおして、覚悟を決め…………られない。
「草創？ どした？」
「……友達に自分の部屋見せるの初めてだから緊張する」
「優作ちゃんの初めていただきー！」
「ん、ちょ、言い方ァ……！」
葉隠ちゃんによってドアが開けられ、私の部屋の中が全員の視界に映る。
あああああ、不評だったらどうしよう。引きこもってエルキドゥとロビンと話してよ。
「白ッ！！」
それが、クラス中の第一声だった。確かに白いよね、家具のほとんどが白だし。
「常闇の部屋とは正反対だね！」
「うわテレビある！ 高そうなやつ！」
「ゲーミングチェアがある……あっ！ 人をダメにするソファーまである！」
何だろう、部屋が褒められてるのか家具が褒められてるのか。でもキラキラした目で部屋を見られるのは悪くない。
「あ、これギルガメシュ叙事詩だ！ って、これ何語！？」
「こっちにはイギリスの歴史書が…………あら。これ、英語ですわね」
「読めるの！？」
「ん、まぁ……ね」
「そういや草創、英語だけはやけに成績いいよな。他も悪くないけど、英語だけやたらいいのはそういう事か！」
実はちょっと違ったりするんだけど、この話はまた今度、という事で。
「ギルガメシュ叙事詩、という事は……エルキドゥか？」
ピシリと、事情を知る何名かが固まった。真名を当てられた本人は笑っている。確かに、寮生活になるならこういう事もありえたよなぁ。
2人に確認すると、いいって言ってくれたからこのクラスの人たちには教える事にした。
「障子君の言う通り、ランサーの真名はエルキドゥだよ。で、アーチャーの真名がロビンフッド。調べたらすぐ出てくるんだろうけど……内緒にしといてもらえると嬉しいかな」
「寮内だったら名前で呼んでもいいけどね」
「マスターがうっかり名前で呼びそうになってましたし、ちょうどよかったっすわ」
「ぅ……つい呼びたくなっちゃうんだもん」
こうして私の部屋紹介は終わった。そこそこお気に召してもらえてみたいでよかった。
焦凍くんにも居心地いいって言ってもらえたし。私としては満足でした。
さ、次はヤオモモちゃんの部屋だね！
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作者名：Chiharu | 作成日時：2021年8月23日 2時
