132話 ページ34
「うそ……まさか、そんな…………！！」
目の前の光景が信じられなくて、私は床に座り込んだ。急に座り込まれた衝撃で、焦凍くんが「お」って驚いてた、ぎゃんかわ。
……ん。で、今は障子君の部屋に来てるんだけど
「なにも面白いものはないぞ」
本人の言う通り面白いものは見当たらない。いや、それどころか……
「ミニマリストだったのか」
「まァ幼い頃からあまり物欲がなかったからな」
「物欲まみれな挙句強欲な女で申し訳なくなってくる……」
「草創になんかダメージ入ってる！」
このままここにいたら何かしらの特攻が入って消滅しそうなのに、こんなにも無欲な人間がいるのかという絶望で動けない。私みたいな強欲の塊が生きていていいのか、という気にすらなる。
「よっ……と。優作大丈夫か？ しっかり捕まっとけよ」
「わ、私はあまりにも強欲な……」
「大丈夫だよ優作。目蔵の欲がなすぎるだけだから。ほら、優作の周りにもっと強欲な30歳児がいるでしょ」
「ん(察し)」
あの人ガチャの度に星5狙ってるからな、よく破産しないなってホント思う。フラれてる確率のが高いけど。そして私は星4を狙うと星5(好みではない)がくる。ガチャってままならないよね。
「私はこれからも強欲に生きよう……」
焦凍くんにしがみついて、次の部屋……5階の瀬呂君の部屋へ。5階って事は焦凍くんの部屋もある……！ 楽しみ。ん、その前に瀬呂君の部屋か……どんなのだろ。
「ん、すご……！ ど●森シリーズみたいでワクワクするね！」
「エイジアン！」
「ステキー」
「瀬呂こういうのこだわるやつだったんだ」
「ふっふっふっ、ギャップの男・瀬呂君だよォ！」
女子には高評価な部屋だった。ん、次は待ちに待った！！
「次は轟さんですわね」
ん、女子たちの考えが手に取るようにわかるよ。気になるよね、私もそう。実家は和室だったけど、ここは洋室だから……焦凍くんどんな風にしたんだろう。
「さっさと済ましてくれ、眠ぃ」
「ん、開けれる？ ……大丈夫そだね」
「さっきからスルーしてたけど、お前らは何で階上がるごとにイチャイチャ度が増してんの？」
「私の精神安定剤だから……？」
「何で疑問形なんだよ」
だって私から焦凍くんを取ったら多分半分くらいしか残らないよねって話。残り？ エルキドゥとロビンとかだよ、うん。
「ん……？ あれって……」
ドアの隙間から見えた緑って、もしかしなくても。
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作者名：Chiharu | 作成日時：2021年8月23日 2時
