【MHA×FGO】それを人は愛と呼ぶ 3 (ページ21)

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119話　　No side ページ21

「！」

「あなたが……その姿にどれほど、の想いを持ってるか…………知ってる。けど……今は私のお願いを聞いて、ランサー……！」
　
優作の令呪は所謂簡易令呪で、聖杯戦争用のものより強制力は落ちる。それこそ、本気で嫌だと思えば払いのけられる。しかしガスのせいで意識が朦朧としながらも、自分の身を案じてくれているマスターのお願い(命令)に背くつもりはなかった。

「わかった、それでマスターが安心してくれるなら」

「ん、ありがとう……」

優作の右の手の甲の令呪が1画消費された。それを見遂げた優作は再び目を閉じた。
見守っていた一同は、二人の話し合いが終わったことにホッとしつつ、歩き出した。

「これでいいね」

エルキドゥは自身の泥の構造を変え、ある人物の姿になった。見慣れない……いや、知らないその姿に誰もが驚いた。そんなこともできるのか！そしてそれは誰だ、と。

「ん、……士郎…………」

それは正義の味方に憧れた、魔術師見習い(正確には魔術使いだが)の少年の姿だった。自身を勘定に入れないやや危なっかしい少年だが、優作はこの少年が好きだった。
言うまでもないが、この【好き】は完全にライクの方である。

「これで僕がランサーだと気づかれる心配はなくなったね。この騒動が終わるまでは【士郎】と呼ぶといいよ」

全員頷き、施設を目指す。敵から爆豪とエルキドゥを守り切れればこちらの勝ちだ。誰も、警戒を怠らなかった。
優作も、辛いのを我慢し背後をエルキドゥの肩越しに見続けた。

それは一瞬の事だった。迫りくる敵に気付いた瞬間には、そこに優作、エルキドゥ、爆豪、常闇の姿はなかった。誰もそれに気付くことなく施設を目指す。
あまりにも鮮やかな手口だった。

そのまま進み続けた緑谷達は、敵に襲われている麗日と蛙吹を発見した。敵は人数が増え殺される事を危惧し逃げ去った。

「待っ……！」

「危ないわ！どんな【個性】を持っているかわからないわ！」

「何だ、今の女……」

「ヴィランよ、クレイジーよ」

麗日達は多少怪我をしていたが歩ける程度なので問題はなかった。

「とりあえず無事でよかった……そうだ、丁度良かった一緒に来て！僕ら今かっちゃんとランサーさんの護衛をしつつ施設に向かっているんだ！」

「爆豪ちゃんとランサーちゃんの護衛……？」

2人は何処にいるのか。その言葉でようやく、後ろに誰もいない事を理解した。