110話 ページ12
わぁ、痛そ。てか枕の集合体って何事？ たとえ枕投げしてもそうはならないでしょ。
突然の先生乱入に、みんな顔を青くさせている。そのみんなの中に……見つけた。
「ランサー！」
「あ、優作」
「あ、じゃないでしょもー！ 何やってたの？」
「うっかりなら個性使用アリの枕投げ」
まじで枕投げだったのね。てか、うっかりでこうも白熱するって……みんな確信犯だな？
まぁエルキドゥ見つかったしいいか。
先生たちはめちゃくちゃ生徒を叱りつけてる。それぞれ対応が違うけど。B組男子は涙ながらに反省し、A組男子は相澤先生の底冷えするような声色に恐怖で固まっている。
当事者じゃない私まで怖いんだから相当だろうな。
まだまだ体力が有り余ってると、明日の特訓が倍に……あ、今3倍になった。大変そうだな。
「たしか発端は明日の肉だったよな？ そんな争いの元になるようなものがあるからいけない……。よってお前らは明日の肉は抜き！」
「そんなぁ！！」
「肉抜いたらただの【じゃが】じゃないですか！？」
「【じゃが】も抜いてやろうか」
「っ！！」
無慈悲。でもま、当然っちゃ当然だよねー、とケラケラ笑ってた。エルキドゥはこうなるんじゃないかって見越して参加しなかったみたい。ヤダうちの子賢い。
「じゃ、明日の晩ご飯のお肉は女子が独占しようか。ね、ランサー」
「そうだね、みんな特訓で疲れるだろうから力を付けてもらおう」
「は！？ ランサーお前！ 何自分も食える前提なんだよ！ オレら男子は肉食えねえんだぞ！」
そういや説明してなかったっけか。あ、峰田君の更衣室覗き事件の時に女子に話しただけだ。
「言い忘れてたけど、性別ないよ？ 私のランサーは」
一瞬の沈黙。そして大絶叫。先生たちも知らなかったのか唖然としてる。ん、焦凍くんの驚いた顔も可愛い。
「てことで先生方、女子がお肉選ぶ権利くらいありますよね？」
「まぁそうだな。あのバカの騒動を未然に防いだし……」
よっしゃ勝った。うちは豚肉の肉じゃがだから、それがいいんだよねー。一応女子だけのグルチャで確認して、一佳ちゃんにも経緯を話した。全員から許可が下りたので安心。
「じゃ、A組は豚肉を選びまーす」
私の言葉に一部が湧いたが、自分たちが食べられるわけじゃなかったと気づき項垂れてた。はは、ウケる。
こうして色々ありまくった合宿一日目が終わった。夜は念の為、エルキドゥに峰田君を見張ってもらった。
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作者名：Chiharu | 作成日時：2021年8月23日 2時
