227話 ページ33
「他の誰もが貴方を認めなくとも、私があなたを認めます、肯定します。何かを成すたび褒めましょう。
貴方が間違えてしまった時には叱りましょう。貴方には真っ直ぐに生きて欲しいですから。
じゃみるさん。人間は、産まれ方、産まれる場所は選べませんが、貴方はたくさんのものを選べます。生きる場所も、意味も、働く場所も、理由も。もちろん、死に方も、その場所だって。貴方はとても自由です。私なんかよりも、ずっと。
だから、生きて帰りましょう？ こんなところで死んでやるのは面白くないじゃないですか。何より、今ここで死なれたら、貴方を褒められませんからね。まずは生きて帰った事を褒めさせてください」
「睡蓮…………」
「かりむさんが、ずーっと貴方の名前を呼んでいましたよ。あれだけの目に遭わされたというのに」
「お人好しすぎて、反吐が出そうだ。だから嫌いなんだ」
「あらあらまあまあどうしましょう。知っていますか？ じゃみるさん。好きの対義語は嫌いじゃなくて、無関心なんですよ？ 貴方はかりむさんに関心を持っています。ふふ、少なからずそこに愛憎はあるようですね」
「…………見かけによらず、意地悪な人だな君は」
ぎゅっと私に抱きつきながら、じゃみるさんはそう言った。ふふ、思ったよりも17歳の少年ですね。かくいう私もそうですが。
「はは、じゃみるさん。私は人ではありませんよ」
「へ」
間抜けな声と共に、間抜けな顔のじゃみるさんが私を見上げてきた。目元をやや乱暴に袖で擦る。泣いてる私に、彼がよくやってくれた。それで、目真っ赤って、揶揄われてたなあ。
「出会いはそこそこ、交流は最悪な私たちでしたけど、いい友人になれる気がしますよ。さあ、早く戻って楽しい話でもしましょうよ。まんからでも、やりながら」
「手加減なんて、しないからな」
にやりと笑って、じゃみるさんが立ち上がった。私も、立ち上がらせてくれた。
「さあ、行きましょうか」
「行くって言ったって…………こんな何処かもわからない場所から……」
じゃみるさんがそう言った直後、かりむさんの声が聴こえてきた。じゃみるさんを、呼んでいる。
「っふふ、呆れるほどのお人好しですねぇ」
「その割には楽しそうだが？」
「そりゃあもちろん、見てて飽きないですからね。貴方達人間は」
「なんだそれは」
2人とも笑いながら、かりむさんの声を目指して歩き始めた。だんだん大きくなるにつれて、世界が真っ白に塗り替えられた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 631人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ツイステ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
どん - Chiharuさん» 分かりました楽しみに待ってます (2021年6月1日 10時) (
レス) id: 9e05ed3410 (このIDを非表示/違反報告)
Chiharu(プロフ) - どんさん» リクエストありがとうございます〜！ 夢主を小さくですね、わかりました。遅くなってしまいますが、必ず書きますね。 (2021年6月1日 9時) (レス) id: 7076ed243d (このIDを非表示/違反報告)
どん - またリクエストしてもいいですか夢主人公が小さくなったところが見てみたいです (2021年5月30日 11時) (レス) id: 2a665cb182 (このIDを非表示/違反報告)
Chiharu(プロフ) - どんさん» たくさんのコメありがとうございます！ 本日、イメイラを描いたので、数日以内に載せさせていただきますね。セベクとの絡みは、本編で書かせていただきます(´∀｀) リクありがとうございました〜！ (2021年5月25日 20時) (レス) id: 7076ed243d (このIDを非表示/違反報告)
どん - Chiharuさん» セベクと夢主人公の絡みが見てみたいです (2021年5月24日 18時) (レス) id: 2a665cb182 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Chiharu | 作成日時：2020年8月29日 0時
