126話 ページ28
『アイツがいると水が濁る。だって泣くと墨吐くんだもん』
『鬼ごっこしても、すぐ捕まえられるから一緒に遊んでもつまんない』
『ああ、そうですか。なら、僕のことは放っておいて、ぐるぐる走り回るだけの生産性のない遊びでもしてろ!』
少々捻くれ方に問題がある気が。れおなさんの時も思ったけど、何でこうもすぐに捻くれるんだ。
小さい時に捻くれたら、大人になって碌な人間にならないのに! 周りに若干一名いたんだよね、そういう人。
『僕には早く泳げる背びれはない。でも、自在に動く10本の手足がある。腕が2本しかない奴らより、5倍多く魔道書の書き取りをしよう。魔法陣を書く墨だっていつでも吐き出せる。今に見てろ……いつか絶対、能天気な人魚共を見返してやるからな!』
努力家だ。兄様も言っていた通り、あずーるさんはかなりの努力家だった。独りでずっと頑張って、努力して…………
『ねえタコちゃん、そんな狭いタコ壷に引きこもって何してるの?』
『うるさいな、僕のことは放っておいてよ』
完全に捻くれてしまった。気にかけてくれる人がいるのに、何でこうも可愛くない反応をしてしまうのだろうか。
『すごい。どの貝殻にもびっしり呪文や魔法陣が書いてある。種族を変える魔法に、声を奪う魔法……。君、その8本足でずっと魔導書の研究を?』
『勝手に触るなよ! 墨を吐きつけられたいのか!』
捻くれ方が本格的だ。あの人だってここまで酷くはなかった気がする…………。いや、そもそも類が違うか。何かあればすぐ悪戯するような人だったしな、特定の人のみだけど。
「そして、ひたすら勉強を続けて数年が過ぎ……」
聞こえてきたのは、馴染みのある声。ふろいどさんとじぇいどさんのものだった。三人は、昔から一緒にいたから、あんなに仲がいいのかな。
『となりのクラスのデブ人魚が急に激やせして、彼女が出来たんだって』
『かわりに、彼自慢のテノールが酷いしゃがれ声になったそうです』
『へぇ、そう』
『別のクラスのボサボサのくせ毛に悩んでいた人魚も、サラサラで綺麗な金髪になったとか』
『代わりに早く泳ぐための大きな尾びれが無くなった』
『ふぅん。なるほど』
『ねえ、アズール。ぜんぶ君の仕業なんでしょ?』
あずーるさんは努力して頑張って、その力を身に付けたんだ。それにしても、兄様と出会ったのはいつなんだろう。
あずーるさんと兄様の記憶も、見れたらいいのに。
ラッキーカラー
あずきいろ
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オタクの夢(プロフ) - 初めまして。突然のコメント失礼します。アンケートの答えは2でお願いします。 (2020年7月11日 21時) (レス) id: 16ffb5e192 (このIDを非表示/違反報告)
メリ助(プロフ) - いつも作品を楽しみにさせてもらっています!アンケートは2でお願いします!続き頑張ってくださいっ! (2020年7月11日 20時) (レス) id: edf0a2913a (このIDを非表示/違反報告)
ほのか(プロフ) - 2でお願いします!続き楽しみにしてます! (2020年7月11日 5時) (レス) id: 90cb15719b (このIDを非表示/違反報告)
アリス(プロフ) - 2でお願いします!無理せず更新頑張って下さい! (2020年7月11日 2時) (レス) id: ad5ac1eb93 (このIDを非表示/違反報告)
にゃんこ(プロフ) - 2で、お願いします (2020年7月11日 0時) (レス) id: 868bfc1b28 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Chiharu | 作成日時:2020年6月27日 16時