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129話 ページ31

『あれ、髪が整えられてる……』

『母さんにやってもらったんだ。それよりさ、今日は何を教えてくれるんだ?』

確か今日が最後の日だ。楽しそうに色々話す二人だけど、遠くから人の声が聞こえてきた。

『ここいらに人魚が出たっつうのは本当か?』

『八百比丘尼伝説も、強ち間違いじゃあなかったのかもな』

兄様はいきなりあずーるさんを海に投げ込んだ。何をするんだと、兄様に墨を吐いたあずーるさんだけど、兄様の顔を見て、泣きそうな顔になっていた。

『今すぐに海底に向かって泳げ! 無我夢中で泳いでいれば、いつかその(うつぼ)の友達に会える!』

『また、会えますか?』

『ああ、会えるさ。じゃあな、──』

『絶対、絶対ですよ! 月桃、ありがとうございました!』

あずーるさんは、海の中に消えてしまった。やがて漁師さんが二人、兄様の元へやってきて、人魚は見なかったかと尋ねてきたが、見ていないと、兄様は言った。

『また会えるといいな、蛸助(たこすけ)…………』

顔についた墨と、兄様の涙が混ざって砂浜に染みを作った。着物の袖で顔を拭って、兄様は歩き始めた。

そこで、その世界は終わってしまった。割れた世界の先には、さっきまでいた世界が広がっていた。
動くたびに音を立てる水。そこに座り込むあずーるさん。

「やっと見つけましたよ、蛸助さん」

「その名前を知ってるって事は、本当に月桃の妹さんなんですね、睡蓮さん」

「そうですよ」

こちらを振り返ったあずーるさんは、泣いていた。

「知らない土地で、帰り方も分からなくて…………そんな時に月桃と会いました」

「はい。あずーるさんの記憶を見せてもらいました。たった四日間だけでしたけど、兄様と仲良くしてくれてありがとうございました」

「月桃は事あるごとに僕を褒めてくれた。あんな別れ方をしたのが悲しくて……。また会えた時、月桃がもっと褒めてくれるように、たくさんたくさん、努力をしました」

そんな気持ちも知らないで、私はただ兄様が死んだと言ってしまった。もっと色々考えてから言えばよかった。あずーるさんがおばぶろしたの、私って理由が1番大きい気がする。

「世界が違うと知っていたけど、諦められなかった。あの日、モストロ・ラウンジにあなたが来た時は、月桃だと思った。あなたに失礼な事をしてしまった…………本当に申し訳ありません……ッ」

耐えられなくなって、私はあざーるさんを抱きしめた。

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ラッキーカラー

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オタクの夢(プロフ) - 初めまして。突然のコメント失礼します。アンケートの答えは2でお願いします。 (2020年7月11日 21時) (レス) id: 16ffb5e192 (このIDを非表示/違反報告)
メリ助(プロフ) - いつも作品を楽しみにさせてもらっています!アンケートは2でお願いします!続き頑張ってくださいっ! (2020年7月11日 20時) (レス) id: edf0a2913a (このIDを非表示/違反報告)
ほのか(プロフ) - 2でお願いします!続き楽しみにしてます! (2020年7月11日 5時) (レス) id: 90cb15719b (このIDを非表示/違反報告)
アリス(プロフ) - 2でお願いします!無理せず更新頑張って下さい! (2020年7月11日 2時) (レス) id: ad5ac1eb93 (このIDを非表示/違反報告)
にゃんこ(プロフ) - 2で、お願いします (2020年7月11日 0時) (レス) id: 868bfc1b28 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Chiharu | 作成日時:2020年6月27日 16時

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