55話 ヒーロー殺し ページ10
「出久君！ 飯田君！！」
二人とも意識はあるけど、地面に伏して動かない。いや、動けないんじゃ。
それが、あいつの個性？ 触れた相手を動かなくさせるか、その場に固定させるか。では、あの古く錆びた刀は……？
「二人とも、そいつに血ィ見せちゃ駄目だ！ 多分血の経口摂取で相手の自由を奪う！ 皆やられた！」
なるほどね、そういうことか。いずれにせよ持続時間はあるはず。轟君の炎なら、距離を保ったままいけるはずだから、私は二人の怪我を治して
「さくらちゃん！！」
「え……ぁっ」
油断、していた。ステインの刀が私の腹部に深々と突き刺さっていた。
ぼたぼたと地面に血が流れ落ち、ナース服を紅く染め上げる。
私の血を舐めようと、近付いてくるヒーロー殺し。ギリギリのところで結界を出して防いだ。瞬時にターゲットを切り替えたらしく、轟君にナイフを投げていた。
それも、炎を出されて防がれていたけど。
一旦私達と距離を置いたヒーロー殺し。今のうちに治してしまおう。治るとはいえ、痛いものは痛いんだから。
「ぐっ…………う」
刀を抜いた瞬間、激しい痛みに襲われたけど、無事に傷口は塞がれていく。
「無事か⁉」
「へーきへーき。けど、初っ端からこんな大怪我するとは。もう怪我はできない、しっかりしなきゃ！」
そう、ここは選択を一つ間違えてしまえば、すぐに死んでしまうような場所なのだ。一瞬たりとも油断をしてはいけない。
「何故……みんな、何故だ……やめてくれよ……」
「飯田くん、何言って……」
「兄さんの名を継いだんだ……。僕がやらなきゃ。そいつは僕が……」
「継いだのか。おかしいな……」
轟君が大氷壁でステインの攻撃を防ぎながら、天哉に語りかける。
「俺が見たことあるインゲニウムは、そんな顔じゃなかったけどな。お前ん家も、裏じゃ色々あるんだな」
その内に、私は二人の傷を治していく。怪我が治っても動けない。なかなか厄介な個性。
「轟君！！」
結界を出そうとしたけれど、間に合わなかった。轟君の腕にナイフが二本、刺さっている。
「今すぐ治し…………」
「お前らもいい…………」
「なッ⁉」
気が付けば頭上にヒーロー殺しがいた。
こいつ、あの氷壁を切って壊したっての⁉ どんな力して……いや、そんなこと考えてる場合じゃない！
「……でも」
間に合わないなー、これは。呑気に考えた瞬間だった。
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Chiharu(プロフ) - レナさん» ありがとうございます！ 突然更新祭りしましたね、ほんとに！笑 伝わっているんですね！？ 嬉しいです！ うちの出久君はかっこかわいいを目指してます！！ 本当にありがとうございます！！ (2020年4月19日 19時) (
レス) id: 7076ed243d (このIDを非表示/違反報告)
レナ - 続編おめでとうございます！ 文章の表現でとても分かりやすく面白いです 出久君が可愛いとかっこいいですね 更新頑張ってください (2020年4月18日 7時) (レス) id: eeb6921148 (このIDを非表示/違反報告)
Chiharu(プロフ) - れもんさん» めちゃくちゃありがとうございます！！ 神作と言っていただけるとは！！ 二度見しました（笑） そしてやる気も出ました。更新祭りします、本当にありがとうございます！ これからもよろしくお願い致します！ (2020年4月15日 23時) (レス) id: 7076ed243d (このIDを非表示/違反報告)
れもん - 神作ですね。すごく面白くてスラスラと読めてしまいました。もう、三回、四回ぐらい読み返してます笑出久君カッコいい…すごく面白かったです！ (2020年4月15日 6時) (レス) id: 5f620a849d (このIDを非表示/違反報告)
Chiharu(プロフ) - しがないペンギンさん» ふおおお、ありがとうございます！！ 4ヶ月もお待たせしてしまったんですね！？ それは大変申し訳ない事を致しました！！ 続編出しましたので、服を着てくださいね笑 これからも更新頑張っていきます！ (2020年2月14日 0時) (レス) id: 4d689be570 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Chiharu | 作成日時：2020年2月9日 17時
