68話 おいで ページ23
緑谷side
職場体験も一応終わり、今は帰り道。さくらちゃんと同じマンション、という事で一緒に帰っている。
私本当にヒーローの卵なんだね、と嬉しそうに笑う彼女は、記憶を失くす前と何ら変わらない。
手を繋ぐのが少し恥ずかしそうにしているのは、最初の頃に戻った感じがするけれど。
「そういえば、私の家族って、どうしてるの？」
「あ…………」
何て言えばいいんだろう。本当の事を言って、悲しませたくない。ごめんね、さくらちゃん。今だけ、僕の嘘を許して。
「訳あって、さくらちゃんは今一人暮らしをしてるんだ」
「そう…………なんだ」
まあ、高校生だし、そういう事もあるよね。そう言って、笑って話題を変えた君は、一瞬とても寂しそうな顔をした。
そうだよね、自分も周りもわからない彼女は、絶対寂しいに決まってる。どうしてあげればいいんだろう。ああ、そうだ。
「さくらちゃん、僕の家においでよ！」
「へっ？」
わ、驚いたような声もかわい…………違う。目を真ん丸にした彼女は、慌てて首を横に振った。
「出久君とか、家族の人にご迷惑だよっ、絶対！」
「僕とお母さんしかいないし、大丈夫！ それにっ、さくらちゃんを一人になんてさせられない！」
ぎゅっと抱き寄せてそう言えば、耳を真っ赤にさせながら、恐る恐る背中に手を回してくれた。
いい匂いする、かわいい。
「出久……？」
「へ⁉」
お母さんの声が聞こえた気がしてそっちを見ると、見事遭遇。買い物帰りらしいけど、やばい！！
よくよく考えればここマンションの前だ！ 彼女とは言え、女子を抱きしめてれば目立つッ！！
「あああああのあの、お母さん、これは……ッ！！」
バッとさくらちゃんから離れ、必死になって言い訳を考えていると、お母さんの視線は僕ではなくさくらちゃんに注がれていた。
「あなた、癒坂さくらちゃんじゃない⁉」
そうだったー！！！！ お母さんさくらちゃんのファンだったー！！！
「あ、はい…………そうです」
ちょっと目を逸らしながら髪を耳にかけるさくらちゃん。なるほど、照れたら髪を耳にかける、と。
手が必然的にメモを取るように動くけど、残念ながら、今は持っていない。
「きゃー！！ 可愛い！！ え、何でうちの出久と一緒にいるの⁉ 」
お母さ──────────────ん！！！
まずい、と思った僕は、さくらちゃんとお母さんの手を握って家までダッシュした。
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Chiharu(プロフ) - レナさん» ありがとうございます！ 突然更新祭りしましたね、ほんとに！笑 伝わっているんですね！？ 嬉しいです！ うちの出久君はかっこかわいいを目指してます！！ 本当にありがとうございます！！ (2020年4月19日 19時) (
レス) id: 7076ed243d (このIDを非表示/違反報告)
レナ - 続編おめでとうございます！ 文章の表現でとても分かりやすく面白いです 出久君が可愛いとかっこいいですね 更新頑張ってください (2020年4月18日 7時) (レス) id: eeb6921148 (このIDを非表示/違反報告)
Chiharu(プロフ) - れもんさん» めちゃくちゃありがとうございます！！ 神作と言っていただけるとは！！ 二度見しました（笑） そしてやる気も出ました。更新祭りします、本当にありがとうございます！ これからもよろしくお願い致します！ (2020年4月15日 23時) (レス) id: 7076ed243d (このIDを非表示/違反報告)
れもん - 神作ですね。すごく面白くてスラスラと読めてしまいました。もう、三回、四回ぐらい読み返してます笑出久君カッコいい…すごく面白かったです！ (2020年4月15日 6時) (レス) id: 5f620a849d (このIDを非表示/違反報告)
Chiharu(プロフ) - しがないペンギンさん» ふおおお、ありがとうございます！！ 4ヶ月もお待たせしてしまったんですね！？ それは大変申し訳ない事を致しました！！ 続編出しましたので、服を着てくださいね笑 これからも更新頑張っていきます！ (2020年2月14日 0時) (レス) id: 4d689be570 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Chiharu | 作成日時：2020年2月9日 17時
