65話 知らない人 ページ20
声が聞こえる。視界が暗い事から、自分が目を閉じている事、そして今まで眠っていたのだと理解した。
目を開けると、視界いっぱいに蛍光灯の光が飛び込んできて、少しだけ目が痛い。
起き上がって最初に見たのは、緑色の髪の人と、黒色の髪の人と、紅白色の髪の人が仲良く話している光景。
「…左手、後遺症が残るそうだ」
彼らや私が着ているのは病院服。入院しているらしい。が、何故そうなっているのかまるでわからない。というか、何故私はここにいるのだろうか。
「ヒーロー殺しを見つけたとき、何も考えられなくなった。マニュアルさんに、まず伝えるべきだった」
ヒーロー殺し？ マニュアルさん？ 彼らは若いヒーローで、戦闘後に入院でもしたのか。
「奴は憎いが……奴の言葉は本当だった。だから、俺が本当のヒーローになれるまで、この左手は残そうと思う」
「僕も……同じだ。一緒に強く……なろうね」
どうやら彼らはヒーローの卵のようだ。仲良しなようで何より。けど、そんな彼らと私が同室なのは申し訳ない。
病院の人も、もう少し配慮してあげればよかったのに。
「なんか……わりィ」
急に紅白色の髪の人が、冷や汗をかきながら謝り始めた。何故か自分の手を深刻そうに見つめている。
「俺が関わると……手がダメになるみてぇな……感じに……なってる……呪いか？」
一瞬の沈黙。そして
「あっはははは！ 何を言っているんだ！」
「轟くんも冗談言ったりするんだね」
「いや、冗談じゃねえ 『ハンドクラッシャー』的存在に……」
「「ハンドクラッシャー！！！」」
「…………ふっ」
あまりにも真剣な顔で面白い事を言うものだから、思わず笑ってしまった。
彼らが目を真ん丸にさせてこちらを見ている。ああ、知らない人が会話を聞いており、あまつさえ笑い声をあげれば、誰だって不愉快か。
「すみませ」
「さくらちゃん！！」
「癒坂！」
「癒坂君！！！」
謝ろうとした瞬間、彼らが一斉にこちらのベッドに飛びついてきた。緑色の髪の人に至っては、私を抱きしめている。
彼らは私をさくら、癒坂、と呼んだ。ということは、私の名前は癒坂さくら、という事。
「よかった、目ェ覚ましてくれた！！」
「緑谷君、よかったな！！ 本当によかった！！」
「緑谷、後で麗日に電話してやれ。すごく心配してたんだろ？」
私に抱きついている人、どうやら緑谷君と言うらしい。けれど
「あの…………どちら様、でしょうか」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 81人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Chiharu(プロフ) - レナさん» ありがとうございます！ 突然更新祭りしましたね、ほんとに！笑 伝わっているんですね！？ 嬉しいです！ うちの出久君はかっこかわいいを目指してます！！ 本当にありがとうございます！！ (2020年4月19日 19時) (
レス) id: 7076ed243d (このIDを非表示/違反報告)
レナ - 続編おめでとうございます！ 文章の表現でとても分かりやすく面白いです 出久君が可愛いとかっこいいですね 更新頑張ってください (2020年4月18日 7時) (レス) id: eeb6921148 (このIDを非表示/違反報告)
Chiharu(プロフ) - れもんさん» めちゃくちゃありがとうございます！！ 神作と言っていただけるとは！！ 二度見しました（笑） そしてやる気も出ました。更新祭りします、本当にありがとうございます！ これからもよろしくお願い致します！ (2020年4月15日 23時) (レス) id: 7076ed243d (このIDを非表示/違反報告)
れもん - 神作ですね。すごく面白くてスラスラと読めてしまいました。もう、三回、四回ぐらい読み返してます笑出久君カッコいい…すごく面白かったです！ (2020年4月15日 6時) (レス) id: 5f620a849d (このIDを非表示/違反報告)
Chiharu(プロフ) - しがないペンギンさん» ふおおお、ありがとうございます！！ 4ヶ月もお待たせしてしまったんですね！？ それは大変申し訳ない事を致しました！！ 続編出しましたので、服を着てくださいね笑 これからも更新頑張っていきます！ (2020年2月14日 0時) (レス) id: 4d689be570 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Chiharu | 作成日時：2020年2月9日 17時
