64話 さよなら ページ19
もっと自分の心配をしてよ！！ と叫ばれた。
大丈夫だよ、私はそう簡単に死なないから。そう、言いたいのに声が出ない。
まぶたが重い。身体も、重い。声を出そうにも、さっきよりハキハキと喋れない。
宇佐美への10年分の恨みを晴らせて、身体は満足してしまったようだ。
「ごめん……ね？ もし、わすれ…………ちゃってたとしたら、みんな……おしえてね」
「当たり前だろ……！！」
出久君だけじゃない。轟君や飯田君まで涙目だ。
こんな時だけど、幸せ者だなぁって、嬉しくなった。
「ね、わたし…………みんなと会えて、幸せだったよ。ありがとう」
中々に最期の雰囲気なんだけど、やばいかな。身体と精神が分離してる気がする。
気持ち的には「死なない！」って思ってても、身体は「無理！ 死ぬ！」って悲鳴をあげてる感じ。
…………こんな時に何考えてんだろ？
でも、もしものために備えて、お別れくらいは言っておいた方がいいのかも。
「ねえ、いずくくん」
「な、に……ッ！ さくら……ちゃん」
「わたしと、つきあってくれてありがとう。君みたいな優しい……ひとと、つきあえて…………わたしはとても、幸せだったよ。
もし、目がさめて……何もおぼえていなかったとしても…………いずくくんは、わたしの恋人だと、言って………………くれる？」
「そんな当たり前のことをッ、聞かないでよ！」
「ありがと。とどろきくん、いーだくん、また、ともだちになってね。それと、クラスのみんなにも…………よろしく言って……おいてね」
「ああ、お前が忘れても、俺らが覚えてる。安心しろ」
「心配するな！ 君は必ず助かるし、僕達が色々教える！ だから、何も心配しなくていいぞ！」
「うれ、し…………ありがとう」
思わず目を閉じると、起きろ！！ とか結構無茶なことを言ってくるみんな。
このままずっと起きてれば、忘れなくて済むのでは………………無理か。
「ん、いーたいことは…………いーきった。あと、は…………」
最後の力を振り絞って、出久君の唇に、自分の唇を重ねた。
「おまじない、かな？」
弱々しく微笑んで、目を閉じた。眠くて眠くて、仕方がなかった。
出久君達が何か言ってる。あれ、救急車の音も聞こえる。
でも、ごめんなさい。もう目を開けられない。
意識が沈む。
最後のキスは、血の味がした。
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Chiharu(プロフ) - レナさん» ありがとうございます！ 突然更新祭りしましたね、ほんとに！笑 伝わっているんですね！？ 嬉しいです！ うちの出久君はかっこかわいいを目指してます！！ 本当にありがとうございます！！ (2020年4月19日 19時) (
レス) id: 7076ed243d (このIDを非表示/違反報告)
レナ - 続編おめでとうございます！ 文章の表現でとても分かりやすく面白いです 出久君が可愛いとかっこいいですね 更新頑張ってください (2020年4月18日 7時) (レス) id: eeb6921148 (このIDを非表示/違反報告)
Chiharu(プロフ) - れもんさん» めちゃくちゃありがとうございます！！ 神作と言っていただけるとは！！ 二度見しました（笑） そしてやる気も出ました。更新祭りします、本当にありがとうございます！ これからもよろしくお願い致します！ (2020年4月15日 23時) (レス) id: 7076ed243d (このIDを非表示/違反報告)
れもん - 神作ですね。すごく面白くてスラスラと読めてしまいました。もう、三回、四回ぐらい読み返してます笑出久君カッコいい…すごく面白かったです！ (2020年4月15日 6時) (レス) id: 5f620a849d (このIDを非表示/違反報告)
Chiharu(プロフ) - しがないペンギンさん» ふおおお、ありがとうございます！！ 4ヶ月もお待たせしてしまったんですね！？ それは大変申し訳ない事を致しました！！ 続編出しましたので、服を着てくださいね笑 これからも更新頑張っていきます！ (2020年2月14日 0時) (レス) id: 4d689be570 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Chiharu | 作成日時：2020年2月9日 17時
