62話 忍び寄る魔の手 ページ17
「馬鹿か！！ あんな真似して、何かあったらどうするつもりだった⁉」
「いや、ごめんって。私も出久君も無事だったし、結果オーラ……」
「それは結果論だろ！ 考えもなしに突っ込んでったのか⁉」
癒坂さくら、ただいま路上で轟君にめっさ怒られております。誰か助けて。
「ま、まあまあ轟君。何事もなかったんだから、その辺に……」
「緑谷はちょっと黙っててくれ」
轟君のあまりにもすごい剣幕に、出久君はハイ……と引き下がってしまった。飯田君に助けを求め視線を向けると…………見事に逸らされた。無慈悲。
「さっきのあの子、下手したらヒーロー殺しよりやばかったんじゃ……」
「シッ！ 聞こえるだろ！」
ええ、バッチリ聞こえております。さっきのヒーロー殺しの殺気より、宇佐美の殺気の方がやばかっただけ。なんて、思い出したくもない事を思い出した。
「お前大人しそうな顔しといてよくあんだけ」
まだ続いてるよ。轟君…………君意外と過保護だな⁉ ん？ 何？ 何かの気配がする……？
気付いた時はもう遅かった。
「出久君！！」
隣にいた出久君を思いっきり突き飛ばす。躱したつもりが、躱せていなかった。深々と刀が腹部に刺さっており、顔を誰かに掴まれていた。
誰か、何て言わずもがな。
「さくらちゃん！！」
「何で…………こういう時に限って出てきちゃうかな……」
「そりゃあボクが君の花婿さんだからじゃないかなあ？」
気味の悪い笑顔を浮かべた宮司…………宇佐美津十無。
「本当はさくらちゃん狙うつもりなかったんだけど、ま、治せるし、しゃーなしだわあ。許してね〜」
「ゔっ、あっ！！」
気持ちが悪い。頭の中をぐちゃぐちゃに掻き回されているかのよう。うわ、吐きそう。あ、血ィ吐いた。
「え、治さないの⁉ もしかしてもう一回怪我治しちゃってた⁉ やば、失敗したあ！！」
ばっと手を払い、宇佐美と距離を取る。動く度に血が流れ、地面に黒いシミを作った。
「あんた…………今何を！！」
「君の記憶を弄ったんだ〜。目が覚めたら自分の事も周りの事も、何一つとして覚えていないように、ね」
もらったんだ〜この個性。便利でしょ。
そう語る宇佐美に、ゾッとした。つまり私は、目が覚めれば、出久君の事もみんなの事も、忘れてしまっているという事。そんなの、嫌だ。死んでも嫌だ。
「ま、今からさくらちゃんはボクと病院に行こうね〜」
そう、再び手を伸ばされた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 81人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Chiharu(プロフ) - レナさん» ありがとうございます！ 突然更新祭りしましたね、ほんとに！笑 伝わっているんですね！？ 嬉しいです！ うちの出久君はかっこかわいいを目指してます！！ 本当にありがとうございます！！ (2020年4月19日 19時) (
レス) id: 7076ed243d (このIDを非表示/違反報告)
レナ - 続編おめでとうございます！ 文章の表現でとても分かりやすく面白いです 出久君が可愛いとかっこいいですね 更新頑張ってください (2020年4月18日 7時) (レス) id: eeb6921148 (このIDを非表示/違反報告)
Chiharu(プロフ) - れもんさん» めちゃくちゃありがとうございます！！ 神作と言っていただけるとは！！ 二度見しました（笑） そしてやる気も出ました。更新祭りします、本当にありがとうございます！ これからもよろしくお願い致します！ (2020年4月15日 23時) (レス) id: 7076ed243d (このIDを非表示/違反報告)
れもん - 神作ですね。すごく面白くてスラスラと読めてしまいました。もう、三回、四回ぐらい読み返してます笑出久君カッコいい…すごく面白かったです！ (2020年4月15日 6時) (レス) id: 5f620a849d (このIDを非表示/違反報告)
Chiharu(プロフ) - しがないペンギンさん» ふおおお、ありがとうございます！！ 4ヶ月もお待たせしてしまったんですね！？ それは大変申し訳ない事を致しました！！ 続編出しましたので、服を着てくださいね笑 これからも更新頑張っていきます！ (2020年2月14日 0時) (レス) id: 4d689be570 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Chiharu | 作成日時：2020年2月9日 17時
