60話 脳無 ページ15
その後、プロヒーロー達が次々来てくれて、みんなの応急処置をしてくれた。
「すみません、本当なら私がやらなきゃいけないのに……」
まだ自分で立つのは不可能なほどグラグラとしている。最初コスチュームの血と破れを見られて、重症人！！ って叫ばれた時は焦った。
「癒坂君…………すまなかった」
スッと飯田君が頭を下げた。僕のせいで、そんな状況にしてしまった、と。
「癒坂君だけじゃない……緑谷君にも、轟君にも……本当に、申し訳ないことをした……僕は、僕は……」
パタパタッと、地面に水滴が落ちていく。私まで、泣きそうになった。
「何も……見えなく、なってしまっていた……！」
何か言ってあげたい。でも、言葉が思いつかない。そんな時、一番に口を開いたのは出久君だった。
「……僕もごめんね。君があそこまで思い詰めてたのに、全然見えてなかったんだ。友だちなのに……」
「しっかりしてくれよ。……委員長だろ」
「飯田君、友達でしょ？ 何でもかんでも一人で背負おうとしなくてもいいんだよ。友達だもの、もっと頼って、ね？」
この言葉はきっと、今の私が昔の私に言いたい言葉。飯田君に言えて、私自身も少しすっきりとした。
「………うん……」
ぐいっと乱暴に涙を拭いた飯田君の顔は、職場体験の時よりもずっと、いい顔をしていた。
本当に、全員無事でよかった。誰かが死んでてもおかしくはないような状況だった。
今更怖くなって、出久君の服にしがみついた時だった。
「伏せろ！！」
グラントリノの声が響き渡った。全員の視線の先、そこには脳無と呼ばれる怪物がいた。
「！！」
「ぅわっ！」
出久君の身体が浮いたと思ったら、私の身体は地面に叩きつけられていた。
「出久君！！」
「よせ癒坂！！」
まともに動ける状況じゃねえだろ！ と轟君に止められた。でも、このままじゃ出久君が！
「出久君を助けなきゃ！」
「わあああああ！！」
ダメだよ、いくら手を伸ばしても、届かない。私に翼があったなら、あの脳無に追いつけるのかな。
「─────ハア」
聞き覚えのあるため息が聞こえたと同時、脳無の体が地に落ちた。
「贋物が蔓延るこの社会も」
その脳無に、容赦なく刀を突き刺したのは……
「徒に『力』を振りまく犯罪者も」
拘束されていたはずの、ヒーロー殺しだった。
「粛清対象だ……」
片腕で出久君を抱えている。
「全ては、正しき社会の為に」
助けた？ いや、出久君を人質に取った……？
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Chiharu(プロフ) - レナさん» ありがとうございます！ 突然更新祭りしましたね、ほんとに！笑 伝わっているんですね！？ 嬉しいです！ うちの出久君はかっこかわいいを目指してます！！ 本当にありがとうございます！！ (2020年4月19日 19時) (
レス) id: 7076ed243d (このIDを非表示/違反報告)
レナ - 続編おめでとうございます！ 文章の表現でとても分かりやすく面白いです 出久君が可愛いとかっこいいですね 更新頑張ってください (2020年4月18日 7時) (レス) id: eeb6921148 (このIDを非表示/違反報告)
Chiharu(プロフ) - れもんさん» めちゃくちゃありがとうございます！！ 神作と言っていただけるとは！！ 二度見しました（笑） そしてやる気も出ました。更新祭りします、本当にありがとうございます！ これからもよろしくお願い致します！ (2020年4月15日 23時) (レス) id: 7076ed243d (このIDを非表示/違反報告)
れもん - 神作ですね。すごく面白くてスラスラと読めてしまいました。もう、三回、四回ぐらい読み返してます笑出久君カッコいい…すごく面白かったです！ (2020年4月15日 6時) (レス) id: 5f620a849d (このIDを非表示/違反報告)
Chiharu(プロフ) - しがないペンギンさん» ふおおお、ありがとうございます！！ 4ヶ月もお待たせしてしまったんですね！？ それは大変申し訳ない事を致しました！！ 続編出しましたので、服を着てくださいね笑 これからも更新頑張っていきます！ (2020年2月14日 0時) (レス) id: 4d689be570 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Chiharu | 作成日時：2020年2月9日 17時
