【オリジナル作品】私は“モノ“である (ページ3)

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２年生の振り返りページ3

一年を振り返って

　２年Ｃ組藤高梨和子

去年と変わらず、さんざんな毎日です。投げ出したくもなりますが、

私はそれができません。勇気がないから？優等生だから？

いいえ、違います。やることを許されないのです。

私が毎日を投げ出したら、あなたたちは平穏に過ごせなく

なります。中二病じゃあないですよ？そんなに軽い

ものではありません。さすがに中学２年の振り返りの作文で

そんなことは書かないです。そこまで馬鹿ではないですよ。

私が言いたいのは、私には自由がないということです。

両親に縛られているわけではありません。

勉強をしろとしつこく言われている訳でもありません。

じゃあなんなんだという話になりますけど、話すと長くなりますし、

書いても長くなりますので、手短に、一言で言いましょう。

私は“モノ“です。

簡単に言いましたが、簡単すぎて意味がわからないと思います。

もう少し詳しく言えば、私は周りの人とは違う、特殊な人種で、

毎日国のために動かなくてはいけない、ということです。

どうして先生は原稿用紙２枚と言ったのでしょうか。

全然足りませんよ。

まぁ、それを見越して、前置きもなしに始めたのですが。

話が急ですみません。いきなりはダメですね。

私は昔から言われてきました。

『あなたは人々の幸せを永遠に存在させるためのモノだ。

　あなたは働かなくちゃいけない。

　あなたはあなたの役目をしなければいけない。』

それはそれは毎日のように聞かされました。

最初の頃は意味がわかりませんでしたし、誰も教えてくれなかった。

ちょっと怖いですよね。毎日同じことを言うわりには、

理由を教えないんですよ。まぁこんなことはどうでもいいんです。

私は他の、普通の人とは違い、特別な力があります。

その力を持っていると、

人々の黒い欲を叶えなければいけない、

見ず知らずの人を命を張って守らなくてはいけない、

私という人種を繁殖させなければいけない、

という、なんともめんどくさい条件がついて来ます。

こんな力、持っててもいいことないです。

辛いことばかりです。こんな人生、嫌になるなっていう方が無理です。

もう原稿用紙が終わってしまいますね。最後になりましたが、２年生の

振り返り、言っておきましょうか。

疲れましたね。