黒姫と黒王子【及川徹】

41話 ページ41

繋心side



青城戦のビデオを見ながら、缶ビールを開け


ひとくち目を飲もうとした時


ケータイが鳴る


繋「誰だよっ！こんな時に！」



画面を見るとAだった




繋「繋なんだー？A。」




返事がない




繋「どーした？」





「……今すぐ来て…けーしん。」




この声は、かなり参ってるな…



繋「いま部屋か？すぐ行くから待ってろ」



俺は青城戦のDVDと開けたばかりのビールを持って車に乗り込んだ。





アイツの部屋の前に着くと、鍵を開ける前に扉が開いた。


目の前には胸にネコを抱え、うつむいたAの姿



首筋や胸元には赤い痕



繋「おまっ！！何があった？！」



Aは何も答えない。


繋「とりあえず入るぞ。」


部屋に入ると、男物の制汗剤のニオイがした



俺はビールをひとくち飲んで
突っ立ったままのAからネコを奪い、シャツを脱がせた。



繋「こりゃ・・また派手に・・」



あまりの姿に俺は苦笑ってAを脱衣場に連れて行く。



繋「とりあえず風呂入れ」




リビングに戻り、ビールを手に取る


______にゃーん


繋「お、タビ助。元気にしてたか？」


頭をわしゃわしゃ撫でてた。


首には今日どこかで見たような色の首輪





テレビを見ながら２本目のビールを開けた時Aが風呂から戻ってきた。



ソファに座る俺の前にちょこんと座る
手にはドライヤー……



繋「わぁ゛ーったよ！」



ドライヤーを奪い取り、クソ長い髪を乾かしてやる



乾かし終えると、俺の膝の上に頭をのせ

やっと声を発した。



「けーしん、優しい」



声にも表情にも覇気がない



心ここにあらず……だ。



無言のAの頭を撫でている間に
２本目のビールが終わった



「・・けーしんがいると思わなくて今日びっくりした」



繋「あーお前に言う暇なかったからな。」


「あのさ・・烏野に西谷夕っているでしょ？」


繋「あぁウチのリベロだな。」


「夕とはね、中学が一緒で今日久々に会ったの」


繋「そういや、あいつ千鳥山だったな。
あいつは…知ってんのか？」



「うん、知ってる。むしろ夕は味方」



繋「あいつは男気ハンパねーからな。
お前の後輩なら、納得だ。」



「あたしさぁ・・・嫌われたかも」



繋「西谷にか？」




「…………及川徹。」



繋「はぁ！？及川？！」



思っても見なかった名前とタバコの煙におもわず咽せる。



「けーしん、ダサ。」




よりにもよって＿

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