黒姫と黒王子【及川徹】

25話 ページ25

Aが何者なのか、頭が混乱した。



黒「あ、ちょっとトイレ行ってくる。
　 なんか他にもあるなら店長に相談しな〜。」




「えっ！っちょっと！」


当の本人は勝手にトイレにいってしまった。



店「ほれ、あったぞー。ってAどこいった？」




及「なんか、お手洗いに行くって・・・。」




店「あはははははっ！相変わらず自由だなアイツ。
　 あ、試しに巻いてみる？」




Aを待つのも暇だ




及「そうさせてもらいます。」



そういって店長が持ってきてくれたテーピングを巻いてみる。



店「どうよ？」




たしかに、いつも使っているのより肌に馴染む感じがする。



及「これいいですね。
こんなのあったなんて知りませんでした。」



店「去年ぐらいに出たばっかだからなぁ。
そんなの知ってるのアイツぐらいだろｗ」




店長はAについてよく知っているようだ




及「Aはよくここに来るんですか？」




探りを入れるつもりはないけど、
Aが戻ってくるまで間を繋げなければならない。





店「Aっていうより、アイツの親父さんがな。
　 アイツんち道場だから、
　 うちでよく色々買っていくんだよ。
　 Aもたまに親父さんの買い出しでくるかな。」



＿＿＿Aの家って道場だったのか。
　


これで、テーピングの謎も



痛めた足に気づいたのも納得がいった。





店「ま、でもまたこうして友達と来てくれるんだから嬉しいよ。
　 アイツも色々あったからな・・・。
　 ま、仲良くしてやってくれな。」




及「・・・はい。」




「どうだった？」



及「あ、あぁ。すごい良かったよ。これ買っていこうかな。」



店長のいろいろが気にならないといえば嘘になるけど


でも、目の前で楽しそうにしているAをみていたら


この時間を、大切にしようと思えた



「試供品もらって帰れば？
　てんちょ、高校生のお財布事情は大変なんだよ！
　ね？いいよね？？？」



店「ふざけんな！試供品の意味ねーだろ。
　 そんな笑顔で言われたら何も言えねーだろが。
　 ほれ、もってけ。」





及「え、・・こんなにいいんですか？
　 今度はちゃんと買いますから。」





店「おう、とりあえず部活がんばれよ。
　 他にも相談あればいつでも来いよ。
　 Aの友達なら大歓迎だからな！」





及「はい、また来ます。」




「店長、及川のこと頼むね。」
　




そうして俺達は、店をあとにした。

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