___檻の中で舞う蝶___【参】

___割引チケット___ ページ34

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今日は授業があるらしく 何時も通り教室へと向かう

襖を開けると そこにはもう山本先生が立っていた。

山本先生は私を見ると 笑顔でこちらを見た。





山本先生「おはようございます Aちゃん。」


『おはようございます 山本先生。』((ﾆｺｯ





挨拶を交わして いつもの教室を見渡した。

無駄に広い部屋に一つ ポツンと置かれた机。

何故だか無性に寂しさを植え付けられた。





山本先生「……来てくれた所悪いんだけどねぇ、今日は学園長先生の思い付きで休みになってしまって……」


『とても急ですね……。』


山本先生「……ごめんなさいねぇ、授業が無くなってしまって、」


『いえいえ、私は全然大丈夫ですよ。』((ﾆｺｯ


山本先生「それで、お詫びにでもなればと思って これを持ってきたの。」


『……？』





山本先生が懐から出したのは 最近できた甘味処の

割引チケットだった。

それを私の手に握らせて また言葉を発した。





山本先生「こんなので良かったら 貰って頂戴？」


『……でも、悪いですよ 山本先生のせいでは有りませんし……』


山本先生「良いのよ 何時もは時間が取れないのに今日まで授業が無くなってしまったから、」


山本先生「私の罪滅ぼしだと思ってちょうだい？」


『……分かりました 有難く頂きますね。』((ﾆｺｯ





私は貰った 割引チケットを懐に入れる。





山本先生「それと、偶には気分転換として何処かに行ってみると良いわ。」


山本先生「最近Aちゃん 忙しくて何処も行けてなかったでしょう？」


『……そうですね お気遣いありがとうございます。』((ﾆｺｯ





私はそう言うって 教室から出て部屋へと向かった

私はすぐさま 机へと向かい六年生様のドリルを開き

算盤を出して いつも通り勉強を始める。





『……』((ﾊﾟﾁﾊﾟﾁｯ





『……気分転換、か。』





私は 算術の計算途中で手を止め、

さっき山本先生に言われた言葉を思い出した。





確かに最近 学園の外へ出てなかったのは確かな事。

しかも今朝 少々気に触る事が起きたし、

行ってみようかな。





『……よし。』





私はそう決めると 立ち上がって身支度を始めた。

わざと いつも着ないような色の着物を着て

いつもと違う ピンクっぽい紅をつける。





『……ふぅ。』





ある程度身支度を終え 姿見で確認した後

予め貰っていた外出届を握り締め

学園の門へと向かった。

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