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横開きの扉を開けた途端、そよりと秋風が
ふいに首筋を撫でた。

否、もしかしたら、まだ秋風ではなかったかもしれない。
然し窓が一部でも解放されていた自習室で
感じられなかった風がさほど開放的ではない校舎内で
感じることが出来たことが、私に秋を思わせた。

新学期が始まり間もない。

自習室で履いていた専用の深緑のスリッパを脱ぎ
靴箱にしまい、自らの靴に足を通す。
踵を軽く、微かにその場に共鳴するくらいに
叩いて廊下を歩き進めると鞄に入れた筆箱が
カラカラとプラスチックの音を立てた。

大学の長い夏休みに私は何をしただろうか。
ずっとテニスサークルにつきっきりだった気もするし、
この学校で出来た友達と遊んでいた気もする。
はたまた、東京の家で父さん達に仕事を
教わってもいたし、

───あの人とも、頻繁に顔を合わせていた
かもしれない。

そう思うと刹那、夏に彼としたことの数々が
脳裏に蘇って、それがなにであろうと己の顔を
あつくさせてなんだか非常にいたたまれない
気分になった。

いつから自分がこんな女のような(実際に女だが)
人間になったのか分からない。

けれど彼のことを想うときだけはそれでも
いいような気がしてしまうから不思議なのだ。

だから私は廊下を一人で歩く時に限らず度々
彼のことを───景吾のことを、思い出して
しまうのだった。




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愛美(プロフ) - とっても面白いです!続き楽しみにしてます! (2018年4月22日 9時) (レス) id: dde960ea55 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2018年1月10日 22時

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