検索窓
今日:2 hit、昨日:0 hit、合計:6,821 hit

四十七 ページ5

.




が、実際Aを見やってみると
明らかに怪訝な顔をしている。
土井の冗談は伝わらなかったようだ。

まあ、それもそうかもしれないと
先程考えたことが嘘のように思い直す。

敏感な話題を笑い話に使われたらそんな顔も
したくはなるかもしれない。まあ、先に冗談を
仕掛けたのはAの方なのだが。


「あー...ともかく、じゃな」


途端に漂った気まずい雰囲気を掻き消すように
大川は咳払いを一つ込んだ。

一瞬緩んだ表情を締め直し、二人は徐に視線を
同じ場所へ向ける。


「A、主の要望はよくわかった。許可しよう」


彼女はらしくない程に目を大きく見開いた。


「よろしいのですか」

「仕方なかろう。...然し依然として手出しは
許さぬぞ、それが条件じゃ。...半助、」


はい、と頷いた姿を横目に確認し、老耄は微笑する。

何処か柔らかい雰囲気を放つ目尻の辺りに
幾つか食い込んだ皺がゆるりと溶けた。


「お主は学園に残っていつも通り授業をしなさい。
そしてもしものときは」

「はい。生徒たちを命に掛けて守ります」

「...ああ、頼んだぞ」


忍でなければ聞こえない程に小さく
「ありがとうございます」と呟いた彼女に向けて
二人がふと微笑んだそのとき、西日がすうと
庵に差し込んだ。




.

四十八→←四十六



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.7/10 (15 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
49人がお気に入り
設定タグ:RKRN , 忍たま乱太郎
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名: | 作成日時:2017年2月28日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。