藤薫ル下【RKRN】 (ページ3)

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『アンズタケ城とワライタケ城の戦の本筋を探れ』

これが今年の課題だ。

この戦いはもう彼此五年近く続いており、
もう誰がなんの為に戦い始めたのかすら
忘れてしまった不可思議な戦だ。

そう、忘れられてしまったのだが決して
消えた訳では無い。元は唯の領地の奪い合いから
始まった争いでありその後は正直
考えるまでもない程明らかだった。

アンズタケの後ろにはタソガレドキがいる。

そして悪名高き小さな、大した軍事力も無い
ワライタケ城に後ろ盾はいない。

すぐにカタがつく筈の戦だったのだ。

それがもう、五年。

「...あの城をツキヨタケが支えているとでも？」

少し話が逸れるが、ツキヨタケ城

かつてのAの勤め先であるその城は
謎の多い城としてある意味よく知られている。

ある時からポツンとそこにあった
さして大きくも小さくもない、けれど不思議な
噂が絶えない嫌な雰囲気の漂う城だ。

それは民の印象が固まっているアンズタケや
ワライタケとは対照的と言える。

そしてその城は他のなにかと関係を持とうと
しないことでも有名である。

忍術学園は勿論、何処かのまた違う城だとか
大名だとか武家だとか
例え何処からどれ程良い話が来ても
『有難い話ですが...』とだけ言って
結局全て跳ね返すと言う。

それがワライタケと手を組むなど有り得るのだろうか？

「いいえ...そうではないらしいのです」

Aはつと障子の向こうとあと天井とに
ほんの一瞬視線を巡らせ、
それからポツリポツリと話し出した。

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