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四十四 ページ2

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「して、話を戻そうか。頼みとは一体なんじゃ」


ええ、と彼女は頷く。


「...秋の、五六年生の合同実習に
私を付き添わさせては戴けないでしょうか」


「ほう」と大川は思いがけぬ言葉に息をついた。

五六年生の合同実習、と言えば

夏休み前に課題の一環として上級生に
極秘で出した宿題...と言う名の忍務だ。

それは忍術学園の伝統でもある。

文月の初め頃に課題として出し、長期休暇中に
“独自で” 詮索、その後課題について “独自に”
推理し答えを出し
最終的には霜月までに野外での実習授業を
“独自で” 行わせる。

勿論、成績にも大きく関係する。

教師が全く、一切手を貸さない訳では無い。
然しこれはあくまでも生徒に生徒の手だけで
忍としての正しい解決に導く他に無い任務である。

よってこれは他の学年の生徒には一切知らされない。
また、教員を除く忍術学園関係者にも
詳細が聞かされることは無い。

尤も、四年生辺りは薄々気配を感じとって
いるのだろうが。

そして最も重要なことはその特別な課題に
教員の一人であるAが付き添いたいと
申し出たことだ。


「無論一切手出しは致しません。
然し今年はなにやら不穏な匂いがします」

「具体的に話してみなさい」

「ワライタケの例の事、ツキヨタケが
関わっている可能性が高いのです」




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作者名: | 作成日時:2017年2月28日 22時

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