人殺し ページ35
────
そこまで言うと、普くんは口を噤んだ。
彼の顔には、迷いが見える。
たっぷり一分は黙り込んだ後、続けた。
「────死のうと思う」
「なんで!」
考えるよりも先に、口が動いていた。
彼が、どこかに行ってしまいそうで、
彼の手に、私の手を重ねた。
それは暖かくて、今から死ぬとは、思えなくて。
「俺はつかさを殺した。
確かにね、警察に捕まって、
罪を償う方法もあるんだと思う。
でも、俺がこれから何をしたって、
つかさが死んだことには変わらない。
俺が消えることが、一番の償いなんだよ」
その言葉には、先程の迷いは感じられない。
彼の口から実際に聞いても、
つかさくんが死んだという、実感は持てなかった。
そして、彼が人殺しだということも。
そんな人が隣に居るのに、
恐怖心を感じないのは、なんでなんだろう。
それほどまでに、
私は彼に心を許していたということか。
「でも、私は……いやだ」
上手く言葉が出てこない。
言葉を探しているうちに、
嗚咽が漏れてしまって、続いたそれは、
駄々をこねる子供のようだった。
「……普くんと、一緒に居たいの」
分かっている。
人を殺めることが、どれだけいけない事か。
こんな事を言っても、彼の決断が変わらないことも。
「だから最後に、ね」
重ねた手を、握って笑った。
その笑顔がどうにも、儚くて。
彼の決意が透けて見えた。
────
......................................................
もうちょっとで終わるー!
次の夢小説は、光くんメインのつもりですけど、
どうでしょうか。
瞬き【地縛少年花子くん】
↑の、大好き
っていう話を見てみてください。
どう思いますか?
47人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
めーぷる - すごく感動しました。どうしよう、泣きすぎてパーカーの袖グシャグシャ・・・これからも頑張ってください。何か、素敵な作品をありがとう!って感じです。(語彙力が…) (2019年11月8日 11時) (レス) id: f01d8b6a59 (このIDを非表示/違反報告)
#花シカ - 正直、素晴らしいにも程があると思う…才能の塊… (2019年10月7日 22時) (レス) id: d50ff21fc0 (このIDを非表示/違反報告)
ミルクショコラ - 泣きました。さいっこう!!これからも頑張って下さい! (2019年9月2日 21時) (レス) id: a2c6795623 (このIDを非表示/違反報告)
らて(プロフ) - もっけ太郎さん» ありがとうございます! (2018年8月13日 9時) (レス) id: b22609da49 (このIDを非表示/違反報告)
らて(プロフ) - みゃのさんさん» ありがとー! (2018年8月13日 9時) (レス) id: b22609da49 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ