時計の針が止まるとき【地/縛/少/年/花/子/く/ん】

いたみ ページ23

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中野の甘い香りが鼻腔をかすめた。

彼女がこちら側に近寄ってきて、
俺の頬にちゅーしたと気づいたのが、数秒後。

心臓が破裂しそう。
まるで締め付けられてるみたい。
息が苦しい。
顔が熱い。

「……おまじない。
夢がずっと覚めないように」

そんな事をしたのに、
彼女は至って冷静にそう告げた。
少しだけ、赤かったけれど。

俺たちの視線が絡み合って、
慌てて顔を逸らした。
駄目だ、これだったら照れてるみたいじゃないか。
……まあ、図星なんだけど。

「こ、こんな遅くまで付き合わせて、ごめん。
じゃ、じゃあ、また明日」

俺の出せる限りの速さで、
家に向かって走った。
帰りたくはなかったけれど、
彼女にこの顔を見せるよりはマシだった。

家に着いて、
鞄の中から鍵を取り出そうとした。

「あれ」

どれだけ探っても、ない。
学校から帰ったままの、出で立ちで
公園まで行ったから、
絶対入っているはずなんだけど。

「……もしかして忘れてきた？」

背中を冷や汗が伝う。
おねーさんと会って、
バタバタしていたこともあり、
鍵をカバンに入れた記憶が無い。
仕方ない、気乗りはしないが……

『ピンポーン』

数秒遅れて、引き戸が開いた。
彼は驚いたように、目を瞬かせると、
にっこりと笑った。

「おかえり、あまね」

「……ただいま、つかさ」

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この痛みが、この苦しみが、
これは現実だと嗤う。
いっそ、夢ならばよかった。

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源兄妹推しですけど、
勿論柚木兄弟も好きですよ！
なんだろ……
つかさの前だと、
花子くんはあまねに戻るんです！(語彙力)

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