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はやく ページ17

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「ごめんね、みっともないところ見せて」

目が腫れぼったい。
なんで、彼と居るといつも堪えている分、
溢れ出してしまうのだろう。
きっと、安心してしまうから。
彼ならきっと、受け入れてくれるだろうって。
……駄目だな、ほんと。
この気持ちは何時になっても消えない。

「大丈夫。……ありがとう」

そういえば、彼が私の前で泣くのは初めてだ。
彼はあまり感情を表に出さない。
頭がぼんやりする。
内側から叩かれているように、頭が痛い。

花火が終わって、人の群れも疎らになってきた。
そろそろ帰ろっか。
私がそう言うと、彼は首を傾げた。

「短冊書かないの?」

私の口から、間抜けな音が漏れる。
星祭りと言えば、の短冊。
なんで忘れてたんだろう。
彼は財布から、二枚の短冊を取り出した。

「俺赤でもいい?」

色で決めるなんて、可愛らしいな。
私も小さい頃は、そうだった気がする。
私はクスリと笑って、青を取った。

大笹竹の方に行くにつれて、
人がどんどん増えていく。

どんなお願いごとにしようか。

「普くんは何書くの?」

と聞くと、彼は意地悪そうに笑う。

「秘密」

私は鉛筆を回しながら、いくつかの案を出す。
『普くんが、おねーさんと会えますように』
でもこれは、多分無理だろうし。

『彼の傷が消えますように』
もうとっくに見慣れていたけれど、
彼の傷は……異質だ。
毎日耐えずつけられている傷。
それは痣だったり、まだ色鮮やかだったり。
彼は、なんにもないふうに振舞っているけれど、
きっと、痛いはずだから。

『彼の夢が────』
そこまで考えて、やめた。
彼のことばかりだったから。
折角だから、自分のためのものにしよう。

『来年もお祭りに行けますように』
と迷ったが、来年も行けるはずだから。
きっと、二人で。
何事もなければ、だけれど。

それを書き終えると、
私は普くんより一足先に、吊るしに行った。
できるだけ高い所に、と背伸びする。

────

『私の気持ちが早く消えますように』

────

......................................................
え、
一日で300ヒット?
これって二次創作やから、
ざっと300人の人が
見てくれたってことですか?

ありがとうございます!

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めーぷる - すごく感動しました。どうしよう、泣きすぎてパーカーの袖グシャグシャ・・・これからも頑張ってください。何か、素敵な作品をありがとう!って感じです。(語彙力が…) (2019年11月8日 11時) (レス) id: f01d8b6a59 (このIDを非表示/違反報告)
#花シカ - 正直、素晴らしいにも程があると思う…才能の塊… (2019年10月7日 22時) (レス) id: d50ff21fc0 (このIDを非表示/違反報告)
ミルクショコラ - 泣きました。さいっこう!!これからも頑張って下さい! (2019年9月2日 21時) (レス) id: a2c6795623 (このIDを非表示/違反報告)
らて(プロフ) - もっけ太郎さん» ありがとうございます! (2018年8月13日 9時) (レス) id: b22609da49 (このIDを非表示/違反報告)
らて(プロフ) - みゃのさんさん» ありがとー! (2018年8月13日 9時) (レス) id: b22609da49 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:らて | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2018年7月21日 17時

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