静かに ページ15
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私がそれを拭き終えると、
普くんの顔は真っ赤に染まった。
先程拭いたものと同じくらいの、赤。
彼に触れたくなった。
おねーさんの記憶より、私の記憶で満たして欲しかった。
そんな願望が私を動かして。
「あ、ごめん。無意識に……」
温かかった。
指先から伝わる熱が、
私の恋を加速させて。
駄目だよ、これは彼のために、
封印しないといけないの。
「……ダイジョーブ」
なんとなく息苦しい。
二人の中に流れる、重い空気をかき消すように、
一つ目の破裂音が鳴った。
もう、こんな時間。
花火が終わったら、この夏祭りも終わり。
結局、彼女は見つからなかった。
「キレイだね」
そういう彼の目が、ほんの少し、
潤んでいるような気がして。
「わ、中野？」
気がつくと私は、彼を抱きしめていた。
……一体私は何をしたいんだろう。
ただ、今は、
泣いてしまいそうな彼を、支えてあげたくて。
「ごめんなさい……見つけられなくて」
最後の方は涙声。
もし私が、あなたに余計な気持ちを抱かなければ。
もっと真剣に探していたら。
見つかったかも知れないのに。
「なんで中野が泣くのさ」
そういう彼の声も、潤んでいた。
駄目だな、私。
泣くつもりなんかじゃ、なかったのに。
私の涙につられたか、
彼も私の肩に顔をうずめ、
声も出さずに身体を震わせた。
それが無かったら泣いていることも分からないくらい、
静かに。
どちらのもの分からない音が。
身体の中に伝わっていく。
────
心臓の音がうるさくて、
聞こえないよ、花火の音なんて。
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めーぷる - すごく感動しました。どうしよう、泣きすぎてパーカーの袖グシャグシャ・・・これからも頑張ってください。何か、素敵な作品をありがとう！って感じです。(語彙力が…) (2019年11月8日 11時) (
レス) id: f01d8b6a59 (このIDを非表示/違反報告)
#花シカ - 正直、素晴らしいにも程があると思う…才能の塊… (2019年10月7日 22時) (レス) id: d50ff21fc0 (このIDを非表示/違反報告)
ミルクショコラ - 泣きました。さいっこう！！これからも頑張って下さい！ (2019年9月2日 21時) (レス) id: a2c6795623 (このIDを非表示/違反報告)
らて(プロフ) - もっけ太郎さん» ありがとうございます！ (2018年8月13日 9時) (レス) id: b22609da49 (このIDを非表示/違反報告)
らて(プロフ) - みゃのさんさん» ありがとー！ (2018年8月13日 9時) (レス) id: b22609da49 (このIDを非表示/違反報告)
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